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ガスタービンにおける液体燃料の微粒化機構を解明し数理モデルを開発 - CO2・NOX排出量をさらに減らす次世代燃焼器開発での利用に期待 -

【本学研究者情報】

〇流体科学研究所 助教 大島逸平
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 燃料噴射弁から噴射された燃料液膜の破断・分裂は、液滴の衝突により生じることを発見しました。
  • 燃料液膜が振動・変形し、破断して大小様々な液滴になる過程(微粒化機構)を明らかにしました。
  • 開発した微粒化数理モデルに噴射弁の形状・寸法と燃料・空気の流速・物性値を入力すれば、実験データに基づくチューニング無しで燃料噴霧の粒径分布を予測できるフレームワークを構築しました。
  • 本研究は経験則的研究開発からの脱却への一歩であり、マルチスケールの複雑な気液二相流現象の根源的理解に肉薄する新しい取り組みです。

【概要】

航空機や発電機用ガスタービンの燃焼器の設計には、燃料噴霧の粒径や空間分散の予測が不可欠です。これまでは実験経験則に基づく推算式しかなく、複雑な微粒化過程の物理機構に基づく汎用的な噴霧粒径分布の予測手法はありませんでした。2050年カーボンニュートラルの実現へ向けたさらなる二酸化炭素(CO2)排出量削減には、燃料噴霧の粒径や空間分散を予測できる汎用的な技術を開発し、燃焼器の設計に生かす必要があります。

東北大学流体科学研究所の大島逸平助教、神戸大学海事科学研究科の宋明良教授らの研究グループは、ガスタービンの燃焼器で用いられる気流式液膜噴射弁に注目し、噴射される燃料液膜の微粒化過程の解明とモデル化を推進してきました。

その結果、気流により振動・変形する液膜の破断が、従来考えられていた気流の乱れや分子間力ではなく、高速膨張する液膜が浮遊する液滴に衝突して生じることを発見しました。また高速度カメラやレーザー計測装置を巧みに使った実験により、液膜が大小様々な液滴群に微粒化する過程を数理モデル化し、物理機構に基づいた燃料液滴径分布の予測モデルを構築しました。

本成果は経験則的設計開発から脱却する最初の一歩であり、4月24日(現地時間付け)で 流体力学の専門誌Journal of Fluid Mechanics に掲載されました。

図1. 液滴の衝突によって液膜が破断する様子

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学流体科学研究所
助教 大島逸平
TEL:022-217-5313
Email: i.oshima*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所
広報戦略室
TEL: 022-217-5873
Email: ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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