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「元和二年仙台地震で津波が発生した」根拠はなかった ―誤った通説が形成された過程も明らかに―

【本学研究者情報】

災害科学国際研究所 准教授 蝦名裕一
研究所ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 元和二年七月二十八日(西暦1616年9月9日)に発生した仙台地震で「津波が発生した」とする年表やデータベースがありますが、史料・文献調査を通じて、この津波には根拠がなかったことを明らかにしました。
  • 本研究は、誤った通説が形成された過程も明らかにしました。まず、約180年後に記された史料などにおいて、「慶長十六(1611)年『慶長奥州地震津波』の津波を元和二年としてしまった年代の誤記」があり、それが近代以降、元和二年地震で津波が発生したとする地震学の通説につながったことが判明しました。
  • 東北地方の災害史をより正確かつ詳細に解明する手がかりとなる研究成果です。今後も、歴史資料に立ち返って歴史災害の実相を明らかにし、津波発生頻度のより正確な推定など、今後の防災に生かしていくことが重要です。

【概要】

これまで、複数の年表やデータベースにおいて、「元和二(1616)年に発生した仙台地震の際、宮城県沖などで津波が発生した」と記載がなされてきました。しかし、この津波の存在を決定的に論証する研究は、これまでありませんでした。

東北大学災害科学国際研究所の蝦名裕一准教授は、元和二年仙台地震に関する史料と、同地震で津波が発生したとする文献の精査を行い、「元和二年仙台地震で発生したとされる津波には史料的根拠がない」ことを明らかにしました。

さらに、このような誤りが生じた過程として、史料における年代の誤記が、近代以降の編纂物や地震研究に引用され、元和二年仙台地震の際に津波も発生したとする地震学の通説へとつながっていったことを示しました。

本研究の成果は、2024年7月31日に刊行された歴史地震研究会の会誌『歴史地震』に掲載されました。

図1. 元和二年仙台地震に関する史料と伝承

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学災害科学国際研究所
准教授 蝦名 裕一
TEL: 022-752-2144
※7/31~8/2の期間については、
お電話は下記広報室へお願いします。
Email: yuichi.ebina.b6*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学災害科学国際研究所 広報室
TEL:  022-752-2049
Email: irides-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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