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野菜に含まれる硝酸塩がむし歯予防をサポート ~口腔細菌が硝酸塩から産生する亜硝酸塩が プラークの酸産生を抑制する~

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 准教授 鷲尾純平
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 主に葉物野菜等に含まれる硝酸塩が、プラークによる酸産生を抑制することを初めて示しました。プラークには酸産生細菌以外に、硝酸塩を亜硝酸塩に変える細菌が含まれており、これらの細菌で作られた亜硝酸塩が、プラークの酸産生を抑制することが分かりました。
  • プラークには、亜硝酸塩をさらに分解する細菌がいることも明らかになりました。しかし、硝酸塩が十分に供給されると、亜硝酸塩の分解よりも産生が大きくなり、貯留した亜硝酸塩によってプラークの酸産生の抑制が起こると考えられます。
  • 本研究は、硝酸塩やそれを含む野菜などの食品を、う蝕予防に応用するための有用な知見です。

【概要】

硝酸塩は、私たちが食事として日々摂取している野菜(特に葉物野菜)に多く含まれています。食事によって摂取された硝酸塩は、消化管から速やかに吸収され、血液を介して全身を循環し、その一部が唾液成分として再分泌されることから、私たちの口腔には常に硝酸塩が存在しています。

東北大学大学院歯学研究科口腔生化学分野の研究グループは、患者から採取した実際のプラークが、硝酸塩を抗菌作用を有する亜硝酸塩へと代謝し、プラークによる糖代謝(酸産生)活性を阻害することで、う蝕抑制に寄与する可能性を明らかにしました。この亜硝酸塩産生活性は糖(グルコース)の存在下で亢進することから、糖代謝による過剰な酸産生を防ぐ、プラークにおける自己調節機構(レジリエンス)として機能している可能性があります。

この研究成果は、むし歯予防法の新規開発に貢献できる可能性があり、その実現が期待されます。

本研究成果は、2024年7月 17日にむし歯に関する分野の専門誌、Caries Researchでオンライン公開されました。

図1. 研究の概要

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科口腔生化学分野
教授 髙橋信博
准教授 鷲尾純平
TEL: 022-717-8295
Email: OEB*dent.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
TEL: 022-717-8260
Email:den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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