2024年 | プレスリリース・研究成果
近赤外光センシングを高精度化する超高屈折率で透明な新材料を発見 ― 自動運転・デジタルツインの普及加速へ期待 ―
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 教授 高村仁
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 屈折率(n)がシリコンの約5倍と高く、近赤外光を通す新材料を発見しました。
- 網羅的な第一原理計算(注1)により超高屈折率透明材料を特定しました。
- 発見した新材料の薄膜を合成し、高い屈折率を実証しました。
【概要】
自動運転車の実用化に向けて近赤外光による高精度かつリアルタイムな距離測定技術が注目されています。しかし環境光によるノイズに弱いという欠点があるため不要な光を遮断する光学フィルターが不可欠ですが、視野を広げるシステムにコストがかかり、技術の普及を妨げる一因となっています。一方、近赤外域で高屈折率な透明材料はシリコン(Si)やガリウムヒ素(GaAs)に限られており、広い視野角を得るために、より高い屈折率かつ透明な光学材料の開発が求められています。
東北大学大学院工学研究科の石井暁大助教と高村仁教授らの研究グループは、日本電気硝子株式会社との共同研究により、近赤外光を通す超高屈折率材料を発見しました(図1)。本成果により近赤外光センシングの応用範囲が広がり、現実空間を正確に把握してバーチャル空間上に再現するデジタルツイン(注2)の普及加速が期待されます。
本成果は2024年10月15日にAdvanced Optical Materialsに掲載されました。
図1.今回発見した近赤外光 (波長800~1200nm) に対して透明な超高屈折率材料
【用語解説】
注1. 第一原理計算:量子力学の原理に基づいて電子状態や物性値を求める計算において、経験的なパラメータを用いない手法。
注2. デジタルツイン:現実空間や製品をバーチャル空間に再現して、その変化のシミュレーションなどに活用する技術。
【論文情報】
タイトル: Highly Refractive Transparent Half-Heuslers for Near Infrared Optics and Their Material Design [Open Access]
著者:Akihiro Ishii, Ruon Katsuragi, Satoru Tanaka, Itaru Oikawa, Masaaki Imura, and Hitoshi Takamura*
*責任著者: 東北大学大学院工学研究科 教授 高村 仁
掲載誌:Advanced Optical Materials
DOI:10.1002/adom.202402295
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
教授 高村 仁
TEL: 022-795-3938
Email: takamura*material.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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