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100年前の手紙から読み解く防災と世界平和 関東大震災への支援に感謝の手紙を書いた約700人の学生の子孫を探すプロジェクトを開始

【本学研究者情報】

〇災害科学国際研究所 准教授 川内淳史
災害科学国際研究所ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 関東大震災発生後にはアメリカから多大な支援が寄せられ、日本からはその返礼として学生たちがアメリカ国民へ感謝の手紙を書きました。東北大学災害科学国際研究所と一般財団法人世界防災フォーラムの合同チームは、700通以上の手紙がアメリカに現存することを2023年に確認しました。
  • それらの手紙には、感謝の気持ち以外に、日米友好と世界平和の願いも綴られていました。この交流は震災時に展開された「災害外交」の好例と評価でき、今日の国際防災にも大きな示唆を与えます。
  • 世界防災フォーラムでは、この調査研究を発展させるため、手紙を書いた学生の子孫を探すプロジェクトを開始しています。

【概要】

1923年9月の関東大震災発生後、日本には世界中から援助が届きました。中でもアメリカからは莫大かつ迅速な「前例のない人道支援」が行われました。震災当時の日米関係は必ずしも良好ではありませんでしたが、両国はこれを機に関係改善を目指し、日本からアメリカに様々な形で感謝の意が表されました。その一つが、日本の学生たちからアメリカ国民に対する感謝の手紙の送付です。

東北大学災害科学国際研究所の川内淳史准教授(歴史学)らと世界防災フォーラムは合同調査により、744通の感謝状が震災当時のアメリカ大統領であったカルビン・クーリッジの子孫のもとに保存されていることを明らかにしました。手紙には感謝の気持ちの他、日米友好と世界平和への願いが込められており、「災害外交」の一環と捉えることができます。

本研究成果は2025年2月1日、学術誌Journal of Disaster Researchに掲載されました。当時手紙を書いた学生の子孫を探す「100年前の手紙プロジェクト(クーリッジ未来プロジェクト)」の詳細は3月7日から9日に仙台市で開かれる「世界防災フォーラム2025」の展示ブースにて報告されます。

図1. アメリカ・バーモント州に保管されていた手紙の原本

【論文情報】

タイトル:The Great Kanto Earthquake and U.S.-Japan Relations: Japanese Students' Thank-You Letters Sent to the United States and Their Implications for International Disaster Risk Reduction Cooperation
著者: Atsushi Kawauchi*, Natsuko Chubachi, Ken Yoshino, Soraya Ono, and Yuichi Ono
*責任著者:東北大学災害科学国際研究所 准教授 川内淳史
掲載誌:Journal of Disaster Research vol.20 no.1, pp.63-80
DOI:10.20965/jdr.2025.p0063

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学災害科学国際研究所 
准教授 川内淳史
TEL: 022-752-2142
Email: atsushi.kawauchi.a8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学災害科学国際研究所広報室
TEL: 022-752-2049
Email: irides-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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