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キャビテーションでコーヒーかすを資源に変えることに成功 機能性成分と繊維素材を回収し、廃棄物を削減

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 ファインメカニクス専攻
教授 祖山 均
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • キャビテーション(注1)を活用して、コーヒー粉末から生理活性物質であるカフェ酸を抽出(図1)すると同時に、粉末をマイクロオーダーのセルロース繊維(図2)に解繊できることを実証しました。
  • 粉砕処理を行わずに20重量%以上の高濃度のコーヒーかすを処理できることを実証しました。
  • キャビテーション条件を最適化することで、処理に必要な消費電力を1/20に低減できることを示しました。
  • 本研究は、食品廃棄物から有用物質を抽出しつつ、繊維質を微細化して工業用材料などに利用できる可能性を示しました。

【概要】

年間1,000万トン以上のコーヒー豆が生産され、世界中で広く消費されています。コーヒーの抽出後に大量に発生する「かす」には、抗がん剤などにも応用されるカフェ酸を含む有用物質が含まれていますが、産業的に採算の取れる抽出法が確立されておらず、その多くが産業廃棄物として廃棄されています。

東北大学大学院工学研究科の祖山均教授、廣森浩祐助教、北川尚美教授は、流動キャビテーション(注2)を用いて、コーヒー粉末からカフェ酸を抽出すると同時に、コーヒー豆の細胞壁を構成するセルロースをマイクロオーダーの繊維状に解繊できる(ほぐせる)ことを世界で初めて実証しました。

この手法は、今後、さまざまな食品廃棄物への応用が期待され、有用物質の抽出やバイオマスの高付加価値化に貢献できる可能性があります。

本成果は2025年4月25日(現地時間)に、超音波化学分野の専門誌Ultrasonics Sonochemistryに掲載されました。

左:図1. コーヒー粉末からカフェ酸の抽出 右:図2. コーヒー粉末から得た繊維

【用語解説】

注1. キャビテーション
液体が高速で流れる際に、圧力が低下して気体(泡)に相変化する現象。流速の低下により気体から液体に戻る気泡の圧潰時に衝撃力が発生する。

注2. 流動キャビテーション
流れ場で発生させるキャビテーション。流動キャビテーションに対して、超音波振動で発生させるキャビテーションを超音波キャビテーションという。流動キャビテーションのほうが超音波キャビテーションよりも20倍以上高効率で処理できるとの報告[1]*がある。

*[1]については、下記の詳細(プレスリリース本文)をご覧ください。

【論文情報】

タイトル:Simultaneous Extraction of Caffeic Acid and Production of Cellulose Microfibrils from Coffee Grounds Using Hydrodynamic Cavitation in a Venturi Tube
著者:Hitoshi Soyama*, Kousuke Hiromori, Naomi Shibasaki-Kitakawa
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 教授 祖山 均
掲載誌:Ultrasonics Sonochemistry
DOI:10.1016/j.ultsonch.2025.107370

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
教授 祖山 均
TEL: 022-795-6891
Email: soyama*mm.mech.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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