2025年 | プレスリリース・研究成果
アジア低緯度域からの放出増加により大気メタン濃度が急上昇(2020-2022年) ―多様なプラットフォームの観測データを活用した放出量推定―
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科
附属大気海洋変動観測研究センター
教授 森本 真司(もりもと しんじ)
研究室ウェブサイト
【概要】
国立環境研究所地球システム領域の丹羽洋介主幹研究員らの研究チームは、2020-2022年の間に地球規模で起こった大気メタン濃度の急上昇の要因を明らかにしました。
研究チームによる解析の結果、この急激な濃度上昇は、主に、熱帯から北半球低緯度(南緯15度から北緯35度)にかけての湿地や水田などの農業、埋立地などにおける微生物が起源のメタン放出が増加したことによって生じたことが分かりました。また、その中でも特に東南アジアや南アジアといったアジアの低緯度地域における影響が大きいと推定されました。
この結果は、地上観測局や船舶、航空機、人工衛星といった様々なプラットフォームによる観測データをそれぞれ数値シミュレーションに基づく解析に入力し、異なる解析間の整合性をみることによって得られました。
このように、メタンに関する様々な観測データを統合して解析することにより、メタン放出が増加している地域や起源を推定することが可能となり、地球温暖化対策(緩和策)への貢献が期待されます。
本研究の成果は、2025年7月7日付で欧州地球科学連合の専門誌『Atmospheric Chemistry and Physics』に掲載されます。

図1:本研究の概要
【論文情報】
タイトル:Multi-observational estimation of regional and sectoral emission contributions to the persistent high growth rate of atmospheric CH4 for 2020-2022
著者: Yosuke Niwa, Yasunori Tohjima, Yukio Terao, Tazu Saeki, Akihiko Ito, Taku Umezawa, Kyohei Yamada, Motoki Sasakawa, Toshinobu Machida, Shin-Ichiro Nakaoka, Hideki Nara, Hiroshi Tanimoto, Hitoshi Mukai, Yukio Yoshida, Shinji Morimoto, Shinya Takatsuji, Kazuhiro Tsuboi, Yousuke Sawa, Hidekazu Matsueda, Kentaro Ishijima, Ryo Fujita, Daisuke Goto, Xin Lan, Kenneth Schuldt, Michal Heliasz, Tobias Biermann, Lukasz Chmura, Jarsolaw Necki, Irène Xueref-Remy, Damiano Sferlazzo
掲載誌:Atmospheric Chemistry and Physics
DOI:10.5194/acp-25-6757-2025
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科
附属大気海洋変動観測研究センター
教授 森本 真司(もりもと しんじ)
TEL:022-795-5780
Email:mon*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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