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語彙の知識を洗練することで、より流暢な英語に 単純な意味とのつながりから実践で使える柔軟な単語力へ

【本学研究者情報】

〇国際文化研究科 ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサー 内原卓海
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 英語を母語としない人が英語を正しく聞き取るためには、「文脈の中で、文全体の意味と単語の組合せの適切さを考慮しながら素早く正確に単語の意味を引き出せる」(=語彙知識が自動化されている)ことが重要です。本研究では、この「自動化された語彙知識」が、流暢に話す力にも強く関わっていることを明らかにしました。
  • 一方で、英単語とその意味を一対一の知識として単純化して覚えていること(例:give「与える」)は、発話の流暢さにはあまり寄与しないことが明らかになりました。
  • 音声で認識する語彙知識と言語習得の理論的なつながりが明らかになることで、文字情報から学ぶことの多い日本の教育へ新たな知見をもたらす可能性があります。

【概要】

第二言語(母語以外の習得言語)における語彙の豊富さは、発話の流暢さにとって重要であることがすでに明らかとなっています。しかし、従来の語彙力の測定方法の多くでは、単語単体での意味を知っているかどうか(例:give「与える」)を語彙知識としており、実際の言語使用場面での応用可能性には限界がありました。

本研究グループでは、自動化された語彙知識が単語と意味の一対一の語彙知識と比べて圧倒的に流暢さと関連することを明らかにしました。また、自動化された語彙知識は、学習者の言語知識の豊富さや処理能力と深く関わるとされる発話中の節内で発生する沈黙の数※1と特に強い関連を示すことが分かりました。以上の結果から、最終的には語彙知識を自動化する段階までに洗練させていくことが発話能力にとって重要であることが示唆されました。

本研究は、早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程5年の瀧澤嵩太朗(たきざわこうたろう)、ロンドン大学教育研究所教授、及び東北大学大学院国際文化研究科ディスティングイッシュトプロフェッサーの斉藤一弥(さいとうかずや)、ロンドン大学教育研究所、及び東北大学大学院国際文化研究科研究員の鈴木田優衣(すずきだゆい)、東北大学大学院国際文化研究科ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサーの内原卓海(うちはらたくみ)らで行い、オックスフォード大学出版局発行の学術誌「Applied Linguistics」に2025年7月7日にオンライン公開されました。

図 自動化語彙知識を測るテスト

【論文情報】

雑誌名:Applied Linguistics
論文名:Automatized phonological vocabulary knowledge as L2 cognitive fluency: Testing the declarative-automatized integrative model in L2 speech production
執筆者名(所属機関名):*瀧澤嵩太朗1, 斉藤一弥2,3, 鈴木田優衣2,3, 黒川皐月3, 内原卓海3
1: 早稲田大学大学院教育学研究科 2: ロンドン大学教育研究所 3: 東北大学大学院国際文化研究科
掲載日時(現地時間):2025年7月7日
DOI:10.1093/applin/amaf042

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院国際文化研究科
ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサー 内原卓海
E-mail:takumi.uchihara.a2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院国際文化研究科
総務企画係
TEL:022-795-3801 
E-mail:int-som*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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