2025年 | プレスリリース・研究成果
異種材料を中空のマイクロバンプでつなぐ新しい半導体実装技術を開発 低荷重・低温での高信頼性接合を実現
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 電子工学専攻
教授 日暮 栄治
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- マイクロバンプ(注1)は、半導体実装において不可欠な異種材料集積技術を支える要素の一つであり、近年注目される高度なチップ実装技術です。
- 従来は「詰まった形状」だったマイクロバンプの内部を空洞にし、低荷重でも塑性変形し(バンプ1つあたりの荷重4 mNと従来の約半分)、新たな金属面を形成するために低荷重・低温でも信頼性の高い金属結合が可能な中空のマイクロバンプを開発しました。
- 電子デバイス実装に広く用いられる金(Au)薄膜で中空マイクロバンプを作製し、大気中で150ºCでの接合に成功し、従来の300ºC程度より低温での高信頼性接合を実現しました。
【概要】
電子部品を基板に固定して回路を作る電子実装技術(注2)は、半導体を含む電子デバイス製造に欠かせない基盤技術です。近年、デバイスの多機能化・高機能化に伴い、異種材料をつなぐ接合技術の重要性がますます高まっています。
東北大学大学院工学研究科の日暮栄治教授らの研究グループは、産業技術総合研究所ハイブリッド機能集積研究部門異種デバイスパッケージング研究グループの倉島優一研究グループ長らと共同で、低荷重で塑性変形し低温でも強固に接合できるAu中空マイクロバンプを新たに開発しました。具体的には、表面活性化接合(注3)技術とテンプレートストッピング(注4)技術を組み合わせて中空ピラミッド構造のマイクロバンプを作製し、大気中150ºCでの低温接合を実現しました。
本研究は2025年8月22日付で学術誌Sensors and Actuators A: Physicalのオンライン版に掲載されました。

図1. 本研究で開発した、表面活性化接合とテンプレートストリッピングを組み合わせた技術に基づく中空マイクロバンプ作製プロセスとマイクロバンプの電子顕微鏡写真
【用語解説】
注1. マイクロバンプ: 半導体デバイスと回路基板側の電極間を接続するために形成される微細な突起状の端子。直径が数マイクロ~数10マイクロメートルのバンプをマイクロバンプと呼んでいる。
注2. 電子実装技術: 半導体や電子部品を基板に取り付け、電気的接続や機械的固定を行い、電子機器として動作可能な形態にする技術。特に、接合温度や素子への負荷を低減しつつ高い信頼性を確保するプロセスは、次世代の小型・高性能電子機器の実現において重要な役割を果たす。
注3. 表面活性化接合: アルゴンイオン等のイオン衝撃により接合面の吸着層や酸化膜を除去し、固体表面が本来持っている高い凝着エネルギーを利用して、固体同士を常温ないし低温で接合する技術。
注4. テンプレートストリッピング: 微細加工したテンプレート上に堆積させた金属膜をテンプレートから剥離することで、テンプレートと同等の微細構造を有する金属薄膜を得る手法。
【論文情報】
タイトル:Au hollow pyramidal bumps for low-temperature low-pressure bonding fabricated via Au film transfer method
著者:Shintaro Goto, Kai Takeuchi, Le Hac Huong Thu, Takashi Matsumae, Hideki Takagi, Yuichi Kurashima, and Eiji Higurashi*
*責任著者:東北大学大学院工学研究科電子工学専攻 教授 日暮栄治
掲載誌:Sensors and Actuators A: Physical
DOI:10.1016/j.sna.2025.116968
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科電子工学専攻
教授 日暮 栄治
TEL: 022-795-7057
Email: higurashi*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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