2025年 | プレスリリース・研究成果
トカラ列島および与論島から新種の植物を発見 「サツナンマンネングサ」と命名
【本学研究者情報】
〇学術資源研究公開センター(植物園) 助教 伊東拓朗
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- トカラ列島3島(悪石島・臥蛇島・中之島)および与論島に生育するマンネングサ属植物が、同地域に固有の新種であることを明らかにし、「サツナンマンネングサ」(学名:Sedum diversiflorum)と命名しました。
- 本種は同属では珍しい秋咲きである点、花器官(雌しべや雄しべ、花弁、がくの数)が著しい変異を示す点などが特徴的な植物です。
- 本種は、男女群島固有のダンジョマンネングサと宮古島固有のミヤコハママンネングサが交雑したのちに独自に進化を遂げた種と考えられ、同地域の植物相成立を理解する上で重要な発見です。
【概要】
北半球を中心に広く分布する多肉植物であるベンケイソウ科マンネングサ属は、よく似た形態をもつ種が多く、さらに同じ種でも生育環境によって形態が大きく変化することから、分類が難しい植物群の一つとして知られています。
東北大学学術資源研究公開センター・植物園の伊東拓朗 助教、牧雅之 教授、琉球大学の横田昌嗣 名誉教授、神奈川大学の岩元明敏 教授、同大学大学院の遠藤みづほ 大学院生、国立科学博物館の國府方吾郎 研究主幹らは、これまでベンケイソウ科マンネングサ属の「ハママンネングサ」とされてきた薩南諸島のトカラ列島3島(悪石島・臥蛇島・中之島)および与論島に分布する植物が、秋咲き性や花器官の数性の不安定性など、同属では稀な特徴を有することを明らかにしました。これらの特徴により他種と明確に区別できることから、同地域に固有の新種「サツナンマンネングサ(Sedum diversiflorum)」として記載しました。遺伝子解析の結果から、本種は男女群島固有のダンジョマンネングサと宮古島固有のミヤコハママンネングサの過去の交雑に由来し、独自に進化を遂げたことが示唆されました。本成果は日本列島の島嶼域にはいまだに認識されていない未知の分類群が潜在している可能性を示す重要な発見であると考えられます。
本成果は2025年9月8日に植物学の専門誌 Nordic Journal of Botany にオンライン掲載されました。
新種記載されたサツナンマンネングサ
【論文情報】
タイトル:Sedum diversiflorum sp. nov. (Crassulaceae), a new species with variable merosity from the Satsunan Islands, Kagoshima, Japan
著者:Takuro Ito*, Masatsugu Yokota, Mizuho Endo, Akitoshi Iwamoto, Masayuki Maki, Goro Kokubugata
*責任著者:東北大学学術資源研究公開センター・植物園 助教 伊東拓朗
掲載誌:Nordic Journal of Botany
DOI:10.1002/njb.04877
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学学術資源研究公開センター・植物園
助教 伊東 拓朗
TEL: 022-795-6765
Email: takuro.ito.c4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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