2018年 | プレスリリース・研究成果
脳内の交通渋滞がパーキンソン病を誘発する ‐悪玉タンパク蓄積から神経細胞死に至るメカニズムが明らかに‐
東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野の長谷川 隆文准教授、青木 正志教授らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科神経難病認知症探索治療学寄附講座の永井 義隆寄附講座教授との共同研究により、DNAJC13遺伝子の変異が原因となる遺伝性パーキンソン病の発症メカニズムを明らかにしました。
遺伝性のパーキンソン病では脳内に有毒な悪玉タンパク蓄積が生じ、神経細胞が徐々に死んでいくと考えられています。本研究では、遺伝子変異により生じた異常DNAJC13が細胞内輸送システムの渋滞をまねき、神経細胞への悪玉タンパク蓄積とドーパミン神経細胞死を引き起こすことを明らかにしました。これらの新知見は、パーキンソン病発症メカニズムの理解に大きく貢献すると同時に、今後の進行抑制治療薬開発に重要なヒントを与えることが期待されます。
本研究成果は、2018年1月3日に英国科学誌Human Molecular Genetics(電子版)に掲載されました。
ポイント
- DNAJC13遺伝子の変異が原因となる遺伝性パーキンソン病の発症メカニズムを明らかにした。
- 異常DNAJC13は細胞内の輸送システムを渋滞させ、αシヌクレインとよばれる悪玉タンパク蓄積を引き起こす。
- αシヌクレインの蓄積が、脳内のドーパミン神経細胞の変性・脱落と共に運動機能低下をもたらすことをショウジョウバエモデルにより証明した。
論文題目
Title: Parkinson's disease-linked DNAJC13 mutation aggravates alpha-synuclein-induced neurotoxicity through perturbation of endosomal trafficking
タイトル:「パーキンソン病関連変異型DNAJC13は細胞内輸送の障害を介してαシヌクレイン毒性を悪化させる」
Authors: Yoshida S, Hasegawa T*, Suzuki M, Sugeno N, Kobayashi J, Ueyama M, Fukuda M, Ido-Fujibayashi A, Sekiguchi K, Ezura M, Kikuchi A, Baba T, Takeda A, Mochizuki H, Nagai Y and Aoki M. (*corresponding author)
掲載誌: Human Molecular Genetics
DNAJC13遺伝子の異常による神経細胞死誘導の概念図
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野
准教授 長谷川 隆文(はせがわ たかふみ)
電話番号:022-717-7189
Eメール:thasegawa*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
講師 稲田 仁(いなだ ひとし)
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)