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明滅するオーロラの起源をERG(あらせ)衛星が解明-宇宙のコーラスにあわせて密かに揺れる電子の挙動がつまびらかに-

発表のポイント

  • 明滅するオーロラの起源を、ジオスペース探査衛星ERG(あらせ)の観測により解明しました。
  • プラズマ波動「コーラス」に揺さぶられた電子が地球の大気に降り注ぐことでオーロラが発生するという予想が、初めて直接的に、しかも驚くほど明瞭に裏付けられました。
  • 電子の降り込みがいつ、どこで起きるかを、今後より詳細に調べることで、オーロラと宇宙プラズマ物理過程の詳細や多様性の理解が進むと期待されます。

概要

 高緯度地方の夜空を覆うオーロラ嵐は、磁気圏に蓄えられた太陽風のエネルギーが急激に解放されることで生じる現象です。典型的なオーロラ嵐では、よく知られたカーテン状の明るいオーロラに加えて、淡く明滅する斑点状のオーロラ(脈動オーロラ、 pulsating aurora)が現れて舞い乱れます。この明滅するオーロラは、磁気圏の高エネルギー電子が高度100km程度の上層大気に向けて降ったり止んだりすることで生じていますが、その間欠的な降り込みを起こす物理プロセスを観測的に捉えることは、これまで非常に困難でした。

 今回、東京大学大学院理学系研究科の笠原慧准教授をはじめとする研究チームは、2017年に観測を開始したJAXAのジオスペース探査衛星ERG(あらせ)の電子・プラズマ波動データを解析し、明滅するオーロラの源たる物理プロセスの同定に成功しました(図)。これまでにない高精度で磁気圏の電子の分布を計測することにより、磁気圏内を往復運動する電子がプラズマ波動によって揺さぶられ地球の大気に向けて降り注いでいくという物理プロセスが、明瞭に示されました。

 電子の降り込みがいつ、どこで起きるかを、今後さらに詳細に調べることは、オーロラの多様性を理解するうえで非常に重要な情報となるとともに、宇宙空間で普遍的に起きているプラズマ波動と電子の相互作用の詳細な理解につながります。

論文情報
雑誌名:「Nature」(オンライン版:イギリス時間2月14日)
論文タイトル:Pulsating aurora from electron scattering by chorus waves
著者:笠原 慧, 三好 由純,横田 勝一郎,三谷 烈史,笠原 禎也,松田 昇也,熊本篤志,松岡 彩子,風間 洋一,Harald U. Frey, Vassilis Angelopoulos, 栗田 怜,桂華 邦裕,関 華奈子,篠原 育
DOI番号:10.1038/nature25505外部サイトへ

図 明滅するオーロラの起源をERG(あらせ)衛星のプラズマ観測で解明 ©ERG science team

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東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻
准教授 熊本 篤志(くまもと あつし)
TEL:022-795-6515
E-mail:kumamoto*stpp.gp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 大学院理学研究科
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TEL:022-795-5572、022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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