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他家Muse細胞の点滴静注による急性心筋梗塞の修復再生治療法の可能性

梗塞組織修復再生と心機能回復をもたらす画期的修復再生治療を目指して

岐阜大学大学院医学系研究科循環病態学分野の湊口信也教授の研究グループと東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野の出澤 真理教授の研究グループは共同で、生体内多能性幹細胞であるMuse細胞をウサギ急性心筋梗塞モデルに静脈内投与すると、梗塞組織に選択的に遊走・生着し機能的な心筋細胞に自発的に分化することで心筋梗塞サイズの縮小と心機能の回復がもたらされ、さらに他家細胞(ドナーのMuse細胞)であっても半年以上の長期間にわたり効果が持続することを明らかにしました。本研究成果は、日本時間2018年2月24日にCirculation Research誌のオンライン版で発表されました。

発表のポイント

  1. ウサギ急性心筋梗塞モデルに、自己と他家の骨髄由来Muse細胞、およびヒト骨髄由来Muse細胞が30万細胞、静脈投与されました。
  2. 細胞が破壊されたときに積極的に合成されるスフィンゴシン−1−リン酸 (S1P) が梗塞部位から警報シグナルとして出され、それに対する受容体 (S1P receptor 2) を持つMuse細胞は静脈投与の後、選択的に梗塞部位に集積できることが新たに分かりました。
  3. Muse細胞は梗塞組織内で1)自発的に心筋と血管に分化、2)線維化の抑制、3)液性因子による保護効果、4)ホスト細胞の細胞死抑制、などを発揮し、梗塞サイズ縮小、心機能回復、左室リモデリングの抑制などの効果をもたらしました。
  4. 分化した心筋は周辺の正常心筋と連結・同期し、電気的活動性を持つ作業心筋としての役割を果たしていることが確認されました。ヒトのMuse細胞でも同様の効果が認められました。
  5. Muse細胞は、胎児が母体の免疫攻撃を抑制して拒絶を免れる機構の一部を持っているため、他家細胞であっても免疫拒絶を免れて効率よく梗塞心筋に到達し修復することがわかりました。また他家Muse細胞から分化した心筋細胞が6ヵ月後でも心臓内で生存し、一旦改善された心機能が減弱せずに長期間そのまま維持されることが確認されました。
  6. 急性心筋梗塞に対して再灌流療法などの通常治療に加えて、ドナー由来のMuse細胞の点滴静注で治療することにより、梗塞心筋組織を修復再生できる可能性が示唆されました。

この研究の示す可能性

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