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運動持久力をサポートする免疫細胞の働き解明

【発表のポイント】

・運動中の筋肉内にさまざまな免疫細胞が集合(運動による免疫系賦活効果)。
・この免疫細胞(特に好中球)は、運動持久力を維持するために不可欠。
・好中球が局所で分泌するインターロイキン1(IL-1)は、筋肉の糖取込を高めて運動持久力アップに貢献(新しい免疫代謝の調節メカニズム)。
・強い炎症性を持つ「悪玉」として有名なIL-1であったが、運動筋肉内の限局エリアでは「善玉」作用を発揮(免疫系が示す功罪二面性のからくりの解明)

【概要】

東北大学大学院 医工学研究科 病態ナノシステム医工学分野の神﨑 展(かんざき まこと)准教授と、東北福祉大学 保健看護学科の土谷昌広(つちや まさひろ)准教授の研究グループは、東北大学大学院 医学系研究科 整形外科学分野の萩原嘉廣(はぎわら よしひろ)准教授、井樋栄二(いとい えいじ)教授、同 歯学研究科 口腔システム補綴学分野の佐々木啓一(ささき けいいち)教授ら、東北医科薬科大学の丹野孝一(たんの こういち)教授らとの共同研究により、運動持久力を高く維持するためには、運動中の筋肉に集まってくる免疫系細胞(好中球)が重要な役割を果たしていることを発見しました。この好中球は、運動中の筋肉の非常に限られた領域でのみインターロイキン1(IL-1)を分泌することで、その近傍の筋肉細胞を刺激してグルコース(ブドウ糖)の筋内への取込を増強する効果を発揮しています。その結果、エネルギー源であるブドウ糖の十分な供給が保たれることにより、その運動持久力を高めていることも明らかにしました。

これまでは、IL-1は強い炎症作用を持っているため筋肉痛の発生などに関わる、いわゆる「悪玉」として考えられていましたが、稼働中の筋肉にやってきた好中球が局所的にごく微量分泌するIL-1には「善玉」としての別の顔も併せ持っていることを明らかにした重要な発見といえます。加齢に伴い筋肉の持久力も徐々に落ちてしまいますが、日々のちょっとした軽い運動を心がけて、この免疫代謝調節の仕組みを上手にコントロールすることで、疲れにくい健康な筋肉を保持できるでしょう。

本研究によって、新しい運動療法指針や好中球機能コントロールを考慮した生活習慣病の治療戦略の開発に貢献することが期待されます。この成果は2018年5月22日(日本時間23日午前1時)以降に米国科学誌「Cell Reports」のオンライン版で公開されます。本研究は、文部科学省科学研究費補助金や日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて行われました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
病態ナノシステム医工学分野
准教授 神﨑 展(かんざき まこと)
電話番号:022-795-4860
Eメールmakoto.kanzaki.b1*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科事務室
平野直樹
電話番号:022-795-7491
Eメールbme-pr*grp.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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