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簡便な体力テストによる2型糖尿病のリスク評価

【発表のポイント】

  • 糖尿病ではない20歳から92歳の成人21,802人を6年間追跡し、体力テスト(握力注1、垂直跳び注2、閉眼片足立ち注3、立位体前屈注4、全身反応時間注5、仰臥位足上げ注6)の成績と2型糖尿病の発症リスクの関連を検討した。
  • 体重当たりの握力の成績が悪ければ悪いほど、2型糖尿病の発症リスクは高かった。
  • • 閉眼片足立ちの成績が良い群と比較して、成績が悪かった群の2型糖尿病の発症リスクは高い値を示した。

【概要】

東北大学大学院医工学研究科の門間陽樹(もんま はるき)助教(現在は医学系研究科 講師)と永富良一(ながとみ りょういち)教授は、新潟大学大学院医歯学総合研究科の曽根博仁(そね ひろひと)教授および同大学大学院生活習慣病予防検査医学講座(新潟県労働衛生医学協会による寄付講座 )の加藤公則(かとう きみのり)教授、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の共同研究グループとともに、新潟ウェルネススタディの一環として、新潟県労働衛生医学協会の健診データを用いて、20~92歳の成人を対象とした追跡研究を行い、握力テストおよび閉眼片足立ちテストの成績が2型糖尿病の発症リスクと関連することを明らかにしました。本研究は、筋力やバランス能力を評価することで、従来の全身持久力による評価より比較的簡便に2型糖尿病の高リスク者を把握できる可能性を示しており、2型糖尿病の予防を目的とした体力測定の重要性を示す重要な報告です。この成果は、2018年7月28日に、Journal of Epidemiology(電子版)に掲載されました。

【用語説明】

注1. 握力:筋力を評価する体力測定項目の1つ。握力は主に手を握る力を評価するが、全身の筋力を反映すると言われている。さらに、測定方法が簡便なため、多くの研究で筋力の指標として用いられている。新体力テストの項目の1つである。

注2. 垂直跳び: パワーを評価する体力測定項目の1つ。パワーは筋力だけでなく、力が発揮される速度も影響する(パワー=筋力×力の発揮速度)。パワーを評価する方法として脚伸展パワーがある。

注3.  閉眼片足立ち:バランス能力を評価する体力測定項目の1つ。バランス能力は静止時および移動時の身体の平衡を維持する能力である。閉眼片足立ちは静止時のバランス能力を評価している。目をつむったまま両手は腰につけ、どのくらい片足を上げて立っていられるかを評価している。高齢者の場合、バランス能力が低いと転倒リスクが高いことが知られている。目を開けて評価する方法もある。

注4.  立位体前屈:柔軟性を評価する体力測定項目の1つ。いわゆる身体の柔らかさを評価している。立位前屈は立った状態で、膝を伸ばしたまま指先がどのくらいつま先よりも下に到達するかを評価している。柔軟性の評価として座って行う長座体前屈もある。

注5.  全身反応時間:刺激に対する反応を評価する体力測定項目の1つ。圧力センサーがついたマットとの上に立ち、前方の示される光の刺激に対してどれだけ速くマットから足を離せるか(ジャンプできるか)を評価している。俗にいう反射神経のこと。

注6.  仰臥位足上げ:筋持久力を評価する体力測定項目の1つ。仰向けになった状態で両足を軽く上げ、どのくらい上げていられるかを評価している。筋持久力はどのくらい筋肉が力強く収縮し続けられるかを反映する体力である。

図1. 本研究で解決する疑問

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科運動学分野
講師 門間 陽樹(もんま はるき)
電話番号:022-717-8166
Eメール:h-momma*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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