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グレートバリアリーフと氷床変動
世界遺産のグレートバリアリーフ掘削試料が明らかにした未知の急激な氷床変化

【発表のポイント】

  1. 世界遺産であるため従来掘削調査が困難であったグレートバリアリーフ海域において、IODP(統合国際深海掘削計画、注1)で掘削船を用いた掘削調査を初めて行いました。得られたサンゴ化石試料を用いることで海水準変動を復元し、氷期から現在にかけての氷床変動を世界で初めて詳細に解明しました。
  2. ゆっくりとしたものと考えられていた氷床の変化が、想定されていたよりも数倍のスピードで変化しうることを明らかにしました。
  3. 人工衛星で得られる南極氷床変化の定量的な解釈を含め、現在進行中の地球温暖化が引き起こす海水面上昇の予測を行う上で重要な知見となります。

【概要】

東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授らの研究グループは、IODPの第325次航海にて、横山教授自身が共同主席研究者として国際チームを率い、世界遺産でもあるグレートバリアリーフで科学掘削を実施して、熱帯域のサンゴ化石試料を採取することに成功しました。それにより、極域氷床と気候の急激な変化について新しい知見を得ました。現在までに全くデータのなかった時代の詳細なデータから、海水準の大規模な変動についてこれまでのパラダイムを変える結果を得ました。現在進行中の地球温暖化でもっとも危惧されている事象の一つは、南極やグリーンランドなどの氷床融解に伴う海面上昇ですが、本研究は、モデルによる将来の気候予測や海面変化の予測をする上で重要な成果となるものです。

光合成をする共生藻を棲息させているため、海面近くに生息する造礁サンゴ。 現在のグレートバリアリーフのサンゴ礁の様子。

【用語解説】

(注1)IODP (統合国際深海掘削計画):Integrated Ocean Drilling Programの略。日本と米国が主導し、地球環境変動、地球内部構造及び地殻内生物圏の解明を目的として世界の様々な海底を掘削する国際プロジェクト。グレートバリアリーフでは2010年に第325次航海として掘削が行われた。2013年10月に国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program)へと名称変更。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東京大学大気海洋研究所高解像度環境解析研究センター
教授 横山 祐典(よこやま ゆうすけ)
Tel:04-7136-6141/8131
Fax:04-7136-6148
Email:yokoyama*aori.u-tokyo.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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