2018年 | プレスリリース・研究成果
歯周病の細菌がマスト細胞と協調して 歯ぐきの粘膜バリアを破壊することを発見 - 歯周病における慢性炎症の予防・治療に期待 -
【発表のポイント】
- 歯周病は、歯周病原細菌による慢性炎症を特徴とする感染症です。慢性炎症が長く続くと歯の周りの組織は破壊され、歯の喪失に至ります。
- 私たちの研究グループは、歯周病原細菌の感染によりヒトマスト細胞からインターロイキン-31という炎症物質が産生されることを発見しました。
- さらに、インターロイキン-31は歯ぐきの粘膜を維持する粘膜バリアを破壊し、歯周病原細菌の感染を悪化させることを発見しました。
- 本研究成果は、歯周病において歯周病原細菌が歯ぐきの粘膜バリアを突破することで、慢性炎症が引き起こされる可能性を初めて解明したものです。今後、歯周病における慢性炎症のコントロールを目的とした予防・治療への展開が期待されます。
【研究成果の概要】
東北大学大学院歯学研究科・口腔分子制御学分野の多田浩之(ただ ひろゆき)講師と口腔診断学分野の西岡貴志(にしおか たかし)助教の研究グループは、最も強力な歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)に感染すると、歯ぐきのマスト細胞からインターロイキン-31という炎症物質が産生されることを発見しました。さらに、このインターロイキン-31は、歯ぐきを維持する上皮細胞同士の粘膜バリアを破壊し、歯周病の悪化に関わることを発見しました。この研究成果は、米国科学誌Cellular Microbiology(セルラー マイクロバイオロジー)の2018年11月13日付オンライン速報版に掲載されました。また、本研究成果が同誌の表紙を飾ることが決まりました。
問い合わせ先
<研究に関すること>
東北大学大学院歯学研究科
口腔分子制御学分野
講師 多田 浩之(ただ ひろゆき)
TEL: 022-717-8306
E-mail: htada*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道に関すること>
東北大学大学院歯学研究科
総務係
TEL: 022-717-8244
E-mail: den-syom*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)