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タンパク質合成の正確性を保証する品質管理を誘導する特異的なリボソーム構造の発見 〜衝突したリボソームが品質管理を誘導する特異的構造を形成する〜

【発表のポイント】

  • 正確なタンパク質合成は生命現象の根幹であり、その異常は様々な疾患の原因となる。
  • タンパク質合成が途中で停止すると、機能に重大な欠損を示すため、品質管理機構によって認識され排除される必要がある。
  • 研究グループは、衝突したリボソームが品質管理を誘導する特異的構造を形成することを見出した。
  • 異常タンパク質の合成を効率的に抑制する治療薬の開発に貢献すると期待される。

【概要】

東北大学大学院薬学研究科の稲田利文教授と東京都医学総合研究所田中啓二所長、ドイツミュンヘン大学Beckmann博士、米国カリフォルニア大学バークレー校のIngolia博士らのグループは、様々な疾患の原因となる異常タンパク質の合成を抑制する品質管理の分子機構を解明しました。研究グループでは、新規品質管理因子RQT1が、特異的な翻訳停止状態のリボソームを認識し、リボソームに目印をつけることが品質管理機構に必須であることを以前報告しました。今回、衝突したリボソームが Hel2 による品質管理を誘導する特異的構造を形成することを見出しました。品質管理の標的となる2つのリボソームが衝突して停滞した構造を、クライオ電顕で解明しました。細胞の持つ新たな品質管理の仕組みが分子レベルで解明され、遺伝病の原因となる異常タンパク質の合成を効率的に抑制する治療薬の開発に貢献する事が期待されます。

この研究成果は、EMBO Journal誌の掲載に先立ち、オンライン版にて1月4日に公開されました。

本研究は文部科学省科学研究費補助金『新学術領域研究「新生鎖の生物学」)および武田科学振興財団研究助成金により支援されました。

図1 連続した特異的コドンを翻訳中に停止したリボソームをRQT1が認識し、リボソームタンパク質uS10の特異的部位をユビキチン化する。その後ユビキチン化リボソームは各サブユニット(注11)に解離する。60Sサブユニットに結合した合成途上のポリペプチド鎖はプロテソームによって分解される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科
担当 稲田利文
電話 (022-795-6874,-6876)
E-mail tinada*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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