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ラン科植物サギソウにおける獅子咲き変異の原因遺伝子特定

【発表のポイント】

  1. ラン科植物の花は「唇弁」や「ずい柱」など特徴的な花器官を有している。これらの花器官形成は興味深いテーマだが、非モデル植物であるため分子機構を明らかにするのは困難であった。
  2. 本研究ではラン科植物サギソウの獅子咲き変異品種'飛翔'を用いて、様々な花器官形成遺伝子の構造と発現を解析するとともに、遺伝解析を行うことにより、原因遺伝子を特定することに成功した。
  3. 本研究成果により、ラン科植物の獅子咲き品種の開発などに繋がると期待される。

【概要】

 東北大学大学院生命科学研究科の菅野明准教授の研究グループは、ラン科植物サギソウの獅子咲き変異品種'飛翔'を用い、この獅子咲き変異が花器官形成遺伝子の一つBクラス遺伝子1)のプロモーター領域にレトロトランスポゾン2)が挿入されたことにより、その発現領域が拡大することによって引き起こされることを明らかにしました。本研究はラン科植物の花器官形成機構の解明に繋がるとともに、獅子咲き品種の作出に向けた分子育種への応用が期待されます。本成果は、3月29日付で科学雑誌The Plant Journal電子版に掲載されました。本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われました。

図1. サギソウの花
野生型品種'青葉'(A)および獅子咲き変異品種'飛翔'(B)

【用語説明】

1)Bクラス遺伝子
花器官形成遺伝子の一つ。A、C、Eクラスの転写因子と複合体を作って機能し、花器官を決定する。3)参照。

2)レトロトランスポゾン
多くの真核生物のゲノム内に存在する可動遺伝因子の一種。サギソウの緑花変異品種'緑星'では、レトロトランスポゾンが遺伝子内に挿入することで引き起こされることが明らかになっている(Mitoma and Kanno 2018)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 菅野 明 (かんの あきら)
電話番号: 022-217-5725
Eメール: kanno*ige.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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