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高圧電源不要のイオン風による気流制御を原理実証 航空機や自動車の飛躍的燃費向上へ貢献

【発表のポイント】

  • 高圧電源を必要としないイオン風を用いた気流制御装置の原理実証に成功
  • 駆動電圧を下げることで、装置の大幅な小型軽量化・低コスト化が可能となり、次世代気流制御システムの実用化に期待
  • 航空機や自動車の空気抵抗を減らし、飛躍的な燃費の向上へ貢献

【概要】

東北大学大学院工学研究科の佐藤慎太郎大学院生、小室淳史助教、大西直文教授らの研究グループは、イオン風注1を利用して空気の流れを制御する装置「プラズマアクチュエータ」注2の駆動電圧を大幅に低減できることを原理実証しました。従来のプラズマアクチュエータでは駆動に高電圧(1万ボルト以上)が必要でしたが、当該研究グループはプラズマアクチュエータを小型化し、集積化することで駆動電圧を数百ボルト程度まで大幅に低くすることが原理的に可能であることを示しました。本研究成果により、電源装置も含めて安価で軽量なプラズマアクチュエータが実現でき、航空機や自動車の飛躍的燃費向上に繋がる技術への応用が期待されます。

本研究成果は、英国ネイチャー・リサーチが出版する科学雑誌「Scientific Reports」に平成31年4月9日付けで掲載されました。

【用語解説】

注1. イオン風:
気体中で放電を発生させると、イオンを生成することができます。この生成されたイオンは電場に沿って加速されますが、この時、周りに存在する電気的に中性の粒子と衝突を繰り返しながら進みます。その結果として、中性粒子もイオンと同じ向きに加速されます。この現象によって発生した気流をイオン風と呼びます。

注2. プラズマアクチュエータ:
イオン風を利用して流体機器周りの流れを制御する装置です。通常は2枚の電極と誘電体で構成され、交流の高電圧を印加することによって空気をイオン化し、イオン風を発生させています。プラズマアクチュエータは航空機の翼周り流れのはく離制御や摩擦抵抗の低減などへの応用が期待されています。

図 1: プラズマアクチュエータとその応用例。2枚の電極と誘電体を用意し、電極の1枚は気流に対して露出させ、もう1枚は誘電体で被覆されるように配置します。この電極間に電圧をかけることで空気をイオン化し、イオン風を発生させます。応用例の1つに航空機の翼周りの流れのはく離制御があります。翼周りの流れがはく離してしまうと、揚力が大きく低下し、抗力が増大してしまいますが、イオン風を吹かせることで流れを付着させ、大きな揚力を生み出し、抵抗を減らすことができます。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

研究内容に関して
東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻
教授 大西 直文
TEL: 022-795-6919
Email: ohnishi*rhd.mech.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

報道に関して
東北大学工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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