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超早期の肺転移病巣では肺細動脈が腫瘍細胞で閉塞 -新たな薬剤送達法の開発の必要性を示唆-

【発表のポイント】

  • 現在の臨床画像診断システムでは検出できない超早期の肺転移病巣(100µm以下)を再現できる肺転移マウスモデルを開発し、肺転移病巣をマイクロX線CTおよび病理組織像で解析すると、肺細動脈が腫瘍細胞で閉塞されていることが判明した。すなわち血行性に投与された低分子抗がん剤は、血管内の腫瘍塞栓により、肺転移巣には十分に送達されないことが示された。
  • 腫瘍新生血管に特徴的なEnhanced permeability and retention (EPR) 効果は、高分子製剤(10-200 nm)の腫瘍への集積に有効であることが動物実験では示されているが、本研究では、超早期の肺転移病巣への蛍光粒子(直径145 nm)の集積は確認されなかった。すなわち血行性に投与された高分子製剤のEPR効果にもとづく肺転移巣への薬剤送達は期待できないことが明らかになった。
  • 肺転移超早期段階では、血管を介した薬剤送達法では、低分子抗がん剤および高分子抗がん剤のいずれもが、肺転移病巣に送達されないことが判明した。

【研究内容】

主要臓器に発生したがんが,血管あるいはリンパ管を介して肺に転移したものを転移性肺がん、あるいは、肺転移と呼びます。

東北大学大学院医工学研究科 腫瘍医工学分野の小玉 哲也 教授およびスフバートル アリウンブヤン特任助教は、同大学病院 阪本真弥 講師、森士朗 講師らとの共同研究により、肺転移の超早期段階においては、血管を介する従来の薬剤送達は、治療には有効でないことが示されました。

小玉らのグループは、正常な肺と比べ、肺転移モデルでの肺内の総血管長、総血管体積、総血管分岐数が著しく減少していることを、マイクロX線CTを用いた解析から明らかにし、その原因が、腫瘍細胞が肺細動脈を閉塞させている結果であることを病理組織像から示しました。

また、高分子製剤を模擬した蛍光粒子の肺転移巣への集積はなく、腫瘍新生血管からの高分子の漏出と貯留に基づくEPR効果が確認されないことを明らかにしました。

これらの結果から、肺転移の超早期段階における血管を介した全身化学療法においては、低分子抗がん剤だけでなく高分子抗がん剤でも、肺転移病巣に十分な薬剤を送達させることができないことが示唆されました。

本研究は、従来の全身化学療法に代わる新たな薬剤送達法の開発、ならびに新規な治療法の開発の必要性が求められることを意味しております。

本研究成果は、2019年11月5日(イギリス時間午前10時)国際科学誌Scientific Reports 誌(電子版) (doi: 10.1038/s41598-019-52144-2)に掲載されました。

なお、本研究の一部は、日本学術振興会研究費補助金の助成を受けておこなわれました。

図1. 肺転移巣活性化前後における肺細動脈の変化。
(A) 肺の解剖学構造と血管供給。 (B) 呼吸細気管支の拡大図。 肺細動脈と静脈。 (C and D)マイクロCT解析後の肺転移病巣のヘマトキシリン・エオジン染色。 (C)の黒い楕円は肺の正常な構造を示し、(D)のハイライトされたオレンジは腫瘍病巣を示します。スケールバー 100 µm。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科 
腫瘍医工学分野
教授・小玉 哲也
電話:022-717-7583
E-mail:kodama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学医工学研究科 広報情報室(担当:平野)
電話:022-217-5198
E-mail:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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