2020年 | プレスリリース・研究成果
太平洋プレート直下に太古の炭素の溜まり場がある だから地震や火山を引き起こすプレートは動いている
【発表のポイント】
- 日本海溝に沈み込む太平洋プレートの下にある岩石や化学組成が判明
- プレートの下には太古に沈み込んだ地殻物質とともに地球深部を巡ってきた炭素が存在することを示す
- それらの成分が原因でプレート直下は岩石が一部溶融しマグマとなっている
- プレート境界地震や火山活動を起こすプレートの動きの原因となっている
【概要】
現代の科学技術で地球の内部の岩石を手にすることができるのは、せいぜい数十kmの深さまでです。それより深部に何があるのかは、地震波の観測などを使って予測されていましたが、物的証拠は有りませんでした。本研究で日本海溝に沈み込む太平洋プレート直下の約100 kmの岩石や化学組成が、海底火山の噴出物の分析により明らかになりました。プレート直下では、マントルの岩石の中に太古の炭素と地殻物質が混合することにより岩石が少し溶けて(マグマが存在して)いることが分かりました(図1)。その柔らかくなったマントルの上をプレートがスルスルと動いています。
(図1) 本研究で提案されたアセノスフェアのモデル図。
輝岩:輝石という鉱物が集まってできた岩石。エクロジャイト:輝石とザクロ石が集まってできた岩石。いずれも沈み込んだ海洋地殻が変化して(変成作用と言う)できたものである。
問い合わせ先
東北大学 東北アジア研究センター
担当 事務室、平野直人
電話 022-795-6009(事務室)-3618(平野)
E-mail nhirano*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)