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魚は切られたヒレの長さを分かっている 魚の尾ヒレ再生時に元の形を復元するしくみを新たに提案

【発表のポイント】

  • 魚の尾ヒレはアクシデントにより失われても元の形に再生することができるが、元の形がどのように記憶され、復元するのかは不明であった。
  • 本研究では、ゼブラフィッシュの尾ヒレ再生時に、尾ヒレの長さを詳細に計測し、どのように元の長さに戻るのかを解析した。その結果、尾ヒレは切除された"長さ"を元に、再生する速度と期間が決められていることが示された。
  • 尾ヒレの支持骨(鰭条:きじょう)の太さを変えて再生させると、元の長さよりも長いヒレが再生されたことから、骨の太さという構造的/物理的な条件が再生する"長さ"を決める情報(記憶)となっている可能性を示した。
  • 魚がもつ"切られた長さ"の記憶のしかたは、"切られた位置"を記憶していると考えられている両生類の四肢再生とは異なるしくみであり、魚のヒレが独自のメカニズムで形態再生していることを示唆している。
  • 本研究の成果は、生物が失われた構造を再生する際に、どのように元の構造を認識・記憶しているのか、という形の再生に関する重要な問題に対して新しいメカニズムの提案になる。

【概要】

魚類はヒレを再生する高い能力を持っていますが、元の形がどのように復元されるのかは明らかにされていませんでした。東北大学大学院生命科学研究科の植本俊明(博士課程後期学生、学振特別研究員DC2)、田村宏治教授、阿部玄武助教のグループは、熱帯魚ゼブラフィッシュの尾ヒレの形の再生に関して、元の形がどのように再生するのかを、支持骨である鰭条の長さを詳細に計測することから解析し、尾ヒレが切除された長さのみを認識し再生の速度と期間を決めていることを明らかにしました。さらに、鰭条骨の太さが再生すべき長さを決定するのに重要であることを明らかにしました。これは、生物が失われた構造を再生する際に、どのように元の構造を認識しているのか、という形の再生に関する重要な問題に対して新しい提案をする重要な報告になります。本研究結果は、1月20日付でScientific Reports誌に掲載されました。

図1. 両生類の四肢再生における位置記憶のモデル(A)と、今回明らかになった魚類のヒレ再生における位置記憶のモデル(B)。それぞれの数字は基部先端部軸における仮想的な位置記憶。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 阿部 玄武 (あべ げんぶ)
電話番号: 022-795-6677
E-mail:gembu.abe.b5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
E-mail:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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