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建設データを用いて東日本大震災の復興過程を定量化 1999年台湾集集地震・2004年インド洋津波の復興と比較

2011年3月11日に発生した東日本大震災からもうすぐ9年となります。東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)の村尾修教授は、東日本大震災発生後に被災者のために各地で建設された仮設住宅および災害公営住宅の建設データを用いた復興曲線作成方法を開発し、岩手県、宮城県、および福島県の復興過程を定量化しました。その結果、災害公営住宅の建設のピークは、早い方から順に宮城県、岩手県、福島県であり、宮城県と福島県の間におよそ半年の違いがあることがわかりました。また、福島県内では、「津波・地震被災者」用、「原発避難者」用、「帰還者」用の災害公営住宅が建設されましたが、最も早い「津波・地震被災者」用と「帰還者」用の建設ピークにはおよそ3年の違いが見られました。

こうして作成された復興曲線を用いて、1999年台湾集集地震によって被災した集集という街と、2004年インド洋津波により被災したスリランカ、インドネシア、タイとの比較も試みました。その結果、建設のピークに関して集集とスリランカの間にはおよそ約1年2ヶ月の違い、集集と宮城県の間には約3年1ヶ月の違いがあることが明らかになりました。

本研究で提案された復興曲線を用いることにより、社会的背景の異なる地域で起きた災害後の復興過程を定量的に比較することが可能となります。また、こうした客観的な復興過程の比較研究により、災害後に施された都市復興施策の効果についてのより適切な議論が可能となり、将来的な復興施策提案に資する可能性もあります。

本研究成果は、2020年1月8日にInternational Journal of Disaster Risk Reduction誌(https://doi.org/10.1016/j.ijdrr.2019.101467)にて公開されました。

図1 仮設住宅と災害公営住宅建設データに基づく岩手県、宮城県、福島県の復興曲線
(福島県については、「津波・地震被災者」、「原発避難者」、「帰還者」用の災害公営住宅別)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(本研究に関する問い合わせ先)
東北大学災害科学国際研究所 教授 村尾 修(秘書 加藤園子)
TEL: 022-752-2125
Eメール: murao*irides.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道関係者お問い合わせ先)
東北大学災害科学国際研究所 広報室 中鉢奈津子・鈴木通江
TEL: 022-752-2049
Eメール:koho-office*irides.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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