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高効率の単結晶熱電変換材料の開発手法を創出 多結晶より熱を伝えにくい単結晶を実現

【発表のポイント】

  • 単一の結晶からなる単結晶の熱伝導率を、たくさんの結晶からなる多結晶よりも低くする手法として点欠陥の導入を提案し、その基盤技術の確立に成功しました。
  • 本研究により、高い熱電変換効率をもつ単結晶の熱電変換材料の開発が可能になり、熱エネルギーを利用したエネルギーハーベスティングの実現に繋がります。

【概要】

東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻の齋藤 亘氏(博士後期課程学生)、林 慶准教授および宮﨑 讓教授は、2019年度 東北大学-清華大学共同研究ファンド(東北大学)の支援のもとで、清華大学(中国)の李敬锋教授の研究グループと共同研究を行い、高い熱電変換効率をもつ単結晶の熱電変換材料を開発する手法として、単結晶に点欠陥を導入することを提案し、その基盤技術を確立しました。

熱電変換材料は熱エネルギーから発電できる材料です。温度差をつけたときの起電力(ゼーベック係数)と電気伝導率が高く、熱伝導率が低いほど熱電変換効率が高くなります。単結晶と多結晶を比べると、単結晶の方が電気伝導率は高いのですが、熱伝導率も高いことから、従来は、多結晶の熱電変換材料が開発されてきました。本研究では、単結晶に点欠陥を導入すると、多結晶より熱伝導率が低くなる一方で、電気伝導率はあまり変化しないことを明らかにしました。本研究を発展させることで、熱電変換効率の高い単結晶の熱電変換材料を開発することが可能となり、熱エネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング※1の実現が期待されます。

本研究成果は、英国オンライン科学誌 Scientific Reports に2020年2月6日に掲載されました。

図1 点欠陥の例(格子間欠陥と空孔欠陥)

【用語解説】

※1 エネルギーハーベスティング
身の周りのエネルギーから電力を得る発電技術の総称。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関して)
林 慶(ハヤシ ケイ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 准教授
電話 022-795-4637
E-mail: hayashik*crystal.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

宮﨑 讓(ミヤザキ ユズル)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授
電話 022-795-7970
E-mail: miya*crystal.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関して)
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤みどり
電話 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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