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「大気圧プラズマ」を感知して医療効果を発揮する分子の同定 プラズマ医療の発展が期待できる世界初の成果

【発表のポイント】

  • 大気圧プラズマ注1を感知する分子の実体を世界で初めて明らかにした。
  • イオンチャネルタンパク質注2TRPA1とTRPV1は大気圧プラズマによって活性化され、細胞内カルシウム注3濃度上昇を誘導した。
  • プラズマを感知する分子の実体と、その制御の仕組みが明らかにされたことにより、プラズマ医療のさらなる発展が期待される。

【概要】

大気圧プラズマは創傷治癒・殺菌効果・止血効果・癌治療など様々な医療への応用が実施されつつありますが、その治療効果の仕組みについては未だ不明な点が多いままです。

東北大学大学院医工学研究科病態ナノシステム医工学分野の神﨑 展(かんざき まこと)准教授は、同・工学研究科プラズマ理工学分野との共同研究により、大気圧プラズマを感知する分子としてイオンチャネルタンパク質TRPA1とTRPV1を世界で初めて明らかにしました(図1)。これらの分子は、人工的に生成された大気圧プラズマによって活性化され、細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こしました。これらのチャネル分子を適切に制御することにより、これまで以上に効果的なプラズマ医療の実現に貢献することが期待されます。

研究成果は、2020年6月16日(火)午前10時(英国時間、日本時間16日(火)午後6時)にScientific Reports誌にオンライン版で公開されました。

図1. 大気圧プラズマによって活性化されるイオンチャネルタンパク質TRPA1とTRPV1

【用語解説】

注1.大気圧プラズマ:プラズマは、固体、液体、気体に次ぐ第4の物質状態であり、原子・分子が電離して、正イオンと電子に分かれて運動している状態である。真空や高温といった特殊環境下においてプラズマを発生させる従来技術とは異なり、近年の技術革新によって、大気圧中でも低温のプラズマを発生させることが可能となった。

注2.イオンチャネルタンパク質:カルシウムなどのイオンを透過させる働きを持つ膜タンパク質で、その開閉によってイオンの透過性を制御している。チャネルの活性(開閉)は、さまざまな生体因子などによって厳密に制御されおり、イオンが関わるありとあらゆる生理現象に直結している。

注3.細胞内カルシウム:細胞機能を調節する極めて重要な役割を担っている。通常、細胞内カルシウムイオン濃度は非常に低く維持されているが、刺激によって一過性に上昇することにより、さまざまな細胞機能が活性化される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
病態ナノシステム医工学分野
准教授 神﨑 展(かんざき まこと)
TEL:022-795-4860
E-mail:makoto.kanzaki.b1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科・広報担当
E-mail:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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