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"ナトカリ比測定"が集団に対する高血圧対策に有効な可能性を確認 ~塩と野菜の摂取バランスと血圧との関連を確認~

【発表のポイント】

  • 宮城県登米市の特定健康診査に尿中のナトリウム・カリウム比(以下、尿ナトカリ比)測定を2017年度から2年間導入し、両年度にわたる約1.3万人の参加者について収縮期血圧のデータと共に解析しました。
  • 尿ナトカリ比値の低下は、体格や飲酒量の変化と独立して収縮期血圧の低下と関連することが明らかになりました。
  • 2年目に尿ナトカリ比と収縮期血圧値が低下したことから、尿ナトカリ比の測定が住民全体の血圧に好影響を与える可能性が示されました。

【概要】

食塩の摂りすぎは高血圧の原因となります。一方、野菜や果物などに含まれるカリウムを多く摂取することで血圧が低下するといわれています。ナトリウムとカリウムのバランスを表す指標として、尿中のナトリウム・カリウム比(尿ナトカリ比)を測定する方法があります。東北大学東北メディカル・メガバンク機構および東北大学産学連携機構イノベーション戦略推進センター革新的イノベーション研究プロジェクト(以下、COI東北拠点)注1と、宮城県登米市との共同研究チームは、2017・2018年度と2年間にわたり同市における特定健康診査(以下、特定健診)会場で尿ナトカリ比を測定しました。両年ともに尿ナトカリ比値と特定健診の情報が得られ12,877人を対象に、尿ナトカリ比や血圧の経年変化を検討した結果、尿ナトカリ比の低下は体格や飲酒量の変化と独立して収縮期血圧の低下と有意な関連を示しました。

加えて、初年度と比べて2年目で尿ナトカリ比や収縮期血圧値が低下したことが明らかとなったことから、地域での尿ナトカリ比測定が住民全体の血圧に好影響を与える可能性が示されました。

本研究成果は、2020年8月17日にHypertension Research誌電子版に掲載されました。

本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」(JPMJCE1303)の支援を受けて行われました。

図1. 尿ナトカリ計(HEU-001F; OMRON Healthcare Co., Ltd., Kyoto, Japan)

【用語解説】

注1. 革新的イノベーション研究プロジェクト(COI東北拠点):東北大学と複数の企業を中核機関とし、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」(JPMJCE1303)の支援を受け、日常生活におけるさりげない健康情報の収集により健康で生きがいあふれた社会の創生をめざしている(http://www.coi.tohoku.ac.jp/)。 研究拠点名:さりげないセンシングと日常人間ドックで実現する自助と共助の社会創生拠点

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
地域住民コホート室
室長 寳澤 篤(ほうざわ あつし)
電話番号:022-273-6212

(報道担当)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
長神 風二(ながみ ふうじ)
電話番号:022-717-7908
ファクス:022-717-7923
Eメール:pr*megabank.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください))

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