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下水処理水中ウイルスの消毒不活化効率を予測 ―水中ウイルスのより確実な制御に向けて―

【発表のポイント】

  • 下水処理水の消毒によるウイルス不活化効率予測モデルをスパースモデリングおよびベイズ推定の手法を用いて構築しました。
  • 本研究で構築したモデルを適用することで、下水処理水に対する適正な消毒強度を理論的に決定することが可能となります。
  • 通常の下水処理で十分に除去されている新型コロナウイルスに関しても、消毒データを蓄積することでモデル構築が可能となり、日常的な管理ができるようになります。

【概要】

感染者糞便に含まれるウイルスはトイレから下水管を介して下水処理場へ流入します。下水処理場において生物処理後に施される消毒処理は水中ウイルスの不活化に対しても有効とされていますが、消毒強度が不十分である場合は放流水中のウイルス濃度の低減が不十分となり、放流水からの感染リスクが許容レベルを超過する可能性があります。世界保健機関(WHO)が推奨している衛生安全計画では、許容感染リスクをもとに消毒処理に割り当てられる目標不活化効率(LRV)を達成可能な消毒強度を特定した上で、常時モニタリングすることが求められます。そのためには、ウイルスごとに目標LRVの達成に必要な消毒条件を逆算できるツールの開発が必要でした(図1)。

本研究では、統計処理手法を適用することで、複数のウイルスに関するLRV予測モデルを構築しました。本研究で開発された水中ウイルス不活化予測モデルの構築手法は、未処理下水中から遺伝子が検出されている新型コロナウイルスに対しても、消毒による減衰データを揃えることができれば適用可能なものです。

本研究は国土交通省・下水道技術研究開発(Gesuido Academic Incubation to Advanced Project:GAIA)により行われ、2020年10月21日付「Environmental Science: Water Research & Technology」(英国・王立化学会)で公開されました。

図1.研究の概要。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
国立大学法人東北大学 大学院環境科学研究科
先端社会創成学専攻
准教授 佐野 大輔
電話 022-795-7481
E-mail daisuke.sano.e1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
国立大学法人東北大学 大学院環境科学研究科
情報広報室(担当:物部 朋子)
電話 022-752-2241
E-mail tomoko.monobe.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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