本文へ
ここから本文です

アレルギー性皮膚炎の新しい制御メカニズムを発見 -脂質栄養を介した新たなアレルギー予防の可能性-

【発表のポイント】

  • アレルギー性皮膚炎注1の発症制御に脂肪酸結合タンパク質3型(FABP3) 注2が関与することを発見しました。
  • FABP3を生成しない遺伝子欠損マウスの幼体では、皮膚炎症に関与するリンパ球の分化、および皮膚への局在が亢進し、成体でアレルギー性皮膚炎を引き起こす一因となることを見出しました。
  • 妊娠期の母体における脂質栄養摂取が、子におけるアレルギー疾患発症の可能性に関与することを示唆しています。

【概要】

アレルギー性皮膚炎は接触アレルゲンによって引き起こされる皮膚炎の一種です。東北大学大学院医学系研究科器官解剖学分野の小林周平助教と大和田祐二教授らの研究グループは、アレルギー性皮膚炎の発症制御において脂肪酸結合タンパク質 3型(FABP3)が重要な役割を果たしていることを明らかにしました。本研究成果は、幼体における脂質の摂取量や組成が、成長後のアレルギー性皮膚疾患の発症および増悪に影響している可能性を初めて明らかにした重要な報告です。将来的に、発達期の栄養コントロールによるアレルギー疾患発症予防へと発展することが期待されます。

本研究成果は、2020年10月22日欧州アレルギー学会雑誌Allergy誌(電子版)に掲載されました。

【用語解説】

注1.アレルギー性皮膚炎:アレルギー物質の皮膚接触によって引き起こされる皮膚炎の一種。一度、アレルギー反応が起きた個体で、再び同じアレルギー物質に触れると、皮膚に炎症性細胞が集積して皮膚炎症を引き起こす。

注2.脂肪酸結合タンパク質(Fatty acid-binding protein; FABP): 水に不溶な長鎖脂肪酸に結合する細胞内タンパク質。細胞内における長鎖脂肪酸の動態を調節し、様々な生体反応に関与すると考えられている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科器官解剖学分野
教授 大和田 祐二(おおわだ ゆうじ)
電話番号:022-717-8039
Eメール:owada*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ