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心臓の微弱な生体磁気情報を日常生活環境下において簡便に検出する技術を開発 ~ 生体磁場情報の広範な利用に道筋 ~

【発表のポイント】

  • 大病院などに設置が限られていた大型で高価な磁気シールドルーム注1を使わずに、日常的生活環境において、心臓の動きから発生する微弱な磁気信号を検出することに成功した
  • 広いダイナミックレンジ注2と高い検出磁場分解能注3を併せ持つ新型磁気センサ素子の開発と、それを用いた外部環境磁場ノイズのキャンセル技術の開発が、成功の鍵となった

【概要】

心臓を非侵襲で精密に検査が可能な施設は、現状では大病院に限られており、診察料も高額です。そのため、誰もが心臓のチェックを簡便に行える、高感度な生体計測機器の実現が望まれています。

東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の安藤康夫教授のグループは、同大学大学院医学系研究科の中里信和教授のグループ、および、スピンセンシングファクトリー(株)との共同研究により、ヒトの体内活動から発生する微弱な磁気信号を室温で測定可能な高感度な磁気センサ素子と、外部環境磁場ノイズのキャンセル技術の開発に成功しました。この画期的な技術により、日常的生活環境において、心臓などの微弱な生体磁気情報を取得可能な装置の実現に近づきました。

本研究成果は、第44回日本磁気学会学術講演会(12月14日~17日)において発表されます。

図1 MTJセンサを用いた日常環境下における生体信号測定の概念図

【用語解説】

注1 磁気シールドルーム
微小な電磁的な測定をするために、電磁波を外部から遮蔽するように設計された部屋のこと。必要とする測定対象物により、シールドの性能が10dB程度から100dB以上まで様々なタイプのものが存在する。内部の雑音電磁場を減らすために、金属製の板、導電性材料などで部屋全体を覆い囲んであり、開口部のシールドも重要になる。

注2 ダイナミックレンジ
磁気センサ素子の性能指標の一つである。センサ素子の動作可能な磁場範囲を示すものであり、MTJセンサは数ピコテスラ~数百マイクロテスラの非常に広い磁場範囲で、出力が飽和することなく動作が可能である。

注3 検出磁場分解能
磁気センサ素子の最も重要な性能指標の一つである。ある周波数において、検出可能な磁場の最小分解能を示す。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻 教授
安藤 康夫 (アンドウ ヤスオ)
電話番号:022-795-7946

東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻 准教授
大兼 幹彦 (オオガネ ミキヒコ)
電話番号:022-795-7948

<報道に関して>
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤みどり
電話番号:022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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