2021年 | プレスリリース・研究成果
強力な酸化・ニトロ化剤 五酸化二窒素を空気から電気的に合成することに成功 ~五酸化二窒素を、より身近なツールに~
【発表のポイント】
- 合成・保存に関する高度な知識・設備が必要なため活用されてこなかった五酸化二窒素(N2O5)(注1)を選択的に高濃度(約200 ppm)合成するポータブルプラズマ装置の開発に成功
- 空気と数十Wの電力さえあれば、あらゆる場所で、スイッチ一つでN2O5を生成・供給可能
- 多方面(殺菌、ウイルス不活化、植物活性化、治療等)でのN2O5応用展開が期待できる
【概要】
無水硝酸とも呼ばれる五酸化二窒素(N2O5)は、強力な反応性を有することから殺菌や治療、医薬品合成、材料合成などへの活用が期待されています。しかし、従来の合成法・保管には高度な設備と繊細な取り扱いが要求されるため、多くの研究者や人々にとって利用が困難でした。
東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻の佐々木 渉太 助教、髙島 圭介 助教、金子 俊郎 教授は、空気からN2O5を選択的に合成するプラズマ装置の開発に成功しました(図1)。この装置は、空気と数十Wの電力さえあれば動作可能なため、異分野の研究者をはじめとして、より多くの人々にN2O5を提供可能です。これを皮切りに、生物や材料に対するN2O5の作用が研究され始めるともに、多方面でのN2O5応用展開が期待されます。研究成果は、2020年12月22日にIndustrial & Engineering Chemistry Research誌のオンライン版で公開されました。
図1.空気からN2O5を電気的合成.
【用語解説】
注1.五酸化二窒素(N2O5):酸素・窒素原子のみから構成される分子であり、無水硝酸とも呼ばれる。常温では無色で吸湿性のイオン結晶である。液相中で、強い酸化・ニトロ化能を有するニトロニウムイオン(NO2+)を一時的に生じる。
問い合わせ先
東北大学 大学院工学研究科
担当 佐々木 渉太、金子 俊郎
TEL: 022-795-7116
E-mail: s.sasaki*tohoku.ac.jp, kaneko*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道に関して>
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)