2021年 | プレスリリース・研究成果
東北大学とサスメド、慢性腎臓病患者向けの治療用アプリの共同開発を開始 〜日本腎臓リハビリテーション学会の支援のもと共同開発〜
【本学研究者情報】
〇本学代表者所属・職・氏名:大学院医学系研究科内部障害学分野・教授・上月 正博
研究室ウェブサイト
【概要】
東北大学大学院医学系研究科 内部障害学分野(以下、「東北大学内部障害学分野」)、日本腎臓リハビリテーション学会とサスメド株式会社(以下、「サスメド」)は、慢性腎臓病患者向けの治療用アプリの共同開発を開始いたしましたのでお知らせいたします。
慢性腎臓病は心不全・心筋梗塞・脳血管障害などのリスク因子であり、日本国内で1,330万人が罹患していると推計されています。慢性腎臓病患者の発症要因としては糖尿病や高血圧などの生活習慣病が挙げられ、生活習慣の変化とともに、患者数が増加しています。また、日本国内の透析患者は34万人を超え、透析治療の医療費は患者一人当たり年間500万円と高額なことから、透析にかかる医療費は総医療費の4%(およそ1兆7,000億円)を占めるほどに上っており、日本の社会保障費の適正化を図る上で、慢性腎臓病患者の透析への移行を食い止めることが喫緊の課題となっています。
近年、慢性腎臓病患者の腎機能の改善もしくは悪化抑制において、腎臓リハビリテーション(以下、「腎臓リハビリ」)が有効であることが示され、保存期の慢性腎臓病患者において、運動療法をはじめとする腎臓リハビリが推奨されています。2011年には日本腎臓リハビリテーション学会が設立され、腎臓リハビリテーションガイドラインも発刊されています。一方で、腎臓リハビリの普及にあたっては、各医療機関での医師や理学療法士などによる腎臓リハビリの実施では限界があり、さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療機関への受診抑制も相まって、新たな解決策が求められている状況です。
一方で、医療の質の向上と効率性の向上を両立させるために、情報技術の活用が求められ、ソフトウェア医療機器を用いた疾患の治療が進められています。スマートフォンは急速に普及が進み、60歳以上の世帯保有率でも81.3%を占め、今後さらに普及率が増加していくことが予想されています(令和2年内閣府消費動向調査)。三者は、スマートフォンの今後の普及率増加と、医療者不足の課題を鑑み、治療用アプリを通じた腎臓リハビリテーションの提供は、より一層医療ニーズに合致していくと考え、慢性腎臓病患者向けの治療用アプリの共同開発を開始するに至りました。
今後、日本腎臓リハビリテーション学会の支援のもと、東北大学内部障害学分野のこれまでの腎臓機能障害に関する研究実績とサスメドの治療用アプリの開発経験・特許技術を活かし、慢性腎臓病患者向けの治療用アプリの製品化を目指し開発を行って参ります。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野
教授 上月 正博(こうづき まさひろ)
電話:022-717-7351
E-mail:kohzuki*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学病院広報室
電話:022-717-7149
E-mail:pr*hosp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)