2021年 | プレスリリース・研究成果
酒量が増える脳内メカニズムの解明 ドーパミン報酬系の異常が飲酒の増大をもたらす
【本学研究者情報】
〇本学代表者所属・職・氏名:
生命科学研究科進化ゲノミクス分野(学際科学フロンティア研究所兼任)・助教・市之瀬 敏晴
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- アルコールの反復摂取により、報酬を伝達するドーパミン受容体の量が増える
- ドーパミン受容体の増大がさらなるアルコール摂取を促進する
【概要】
アルコールは脳の報酬系に作用し、一時的な楽しい気分をもたらします。しかし、飲みすぎが習慣化すると飲酒量を自分の意思でコントロールできなくなり、アルコール依存症を発症するリスクが増大します。東北大学大学院生命科学研究科の市之瀬敏晴助教(学際科学フロンティア研究所兼任)らのグループは、ショウジョウバエをモデルに、飲酒量が日に日に増大する脳内メカニズムを発見しました。アルコールを数日間にわたって繰り返し摂取したハエでは、脳内で快楽を伝達する物質であるドーパミンの受容体の量が増えていました。また、人工的にドーパミン受容体の量を増やすと、過剰にアルコールを摂取するようになりました。ドーパミン受容体は餌の匂いの記憶など脳の高次機能に重要ですが、本研究により、その過剰な活性化は飲酒量の増大というリスクをもたらすことが判明しました。本研究は2月9日付で英科学誌Scientific Repotsに掲載されました。
図:アルコールを与えられなかったハエ(左)と自由に摂取したハエ(右)の脳内でD1ドーパミン受容体を可視化した。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当:助教 市之瀬 敏晴 (いちのせ としはる)
電話番号: 022-217-6224
Eメール:tosihharu.ichinose.c1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当: 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)