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模擬実験で隕石アミノ酸の同位体組成を再現 -小惑星有機物の主要生成反応のひとつが明らかに-

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:大学院理学研究科地学専攻・准教授・古川 善博
東北大学研究者紹介

【発表のポイント】

  • 隕石中のアミノ酸の炭素同位体組成の特徴が、糖を化学的に合成する反応として知られるホルモース型反応(注)によって再現できることを発見した。
  • ホルモース型反応が、小惑星有機物の主要な生成反応の一つであった。
  • 小惑星に含まれるアミノ酸や糖などの低分子有機物は、極低温環境に特異的に存在する材料ではなく、これまで考えられていたよりもはるかに広範囲に分布していた一般的な材料から生成されていた。

【概要】

隕石に含まれるアミノ酸や糖、核酸塩基などの低分子有機物は、その特異的な炭素同位体組成(13Cの濃縮)から、太陽系外縁部や太陽集積前の極低温環境でできた分子から作られたと考えられてきました。

東北大学大学院理学研究科の古川善博准教授、岩佐義成さん(当時博士課程前期2年)、北海道大学低温科学研究所の力石嘉人教授の研究グループは、隕石に含まれる主要な有機物である不溶性有機物とアミノ酸や糖などの低分子有機物との間に存在する大きな炭素同位体組成の差が、隕石有機物の生成反応の一つとして提案されてきたホルモース型反応によって再現できることを明らかにしました。

本研究の成果によって、小惑星に含まれるアミノ酸や糖などの低分子有機物は、これまで考えられていたよりもはるかに広範囲に分布した一般的な材料から生成されていたことが示されました。

本研究成果は、2021年4月29日に米国科学振興協会(AAAS)が発行する『Science Advances』で公開されました。

図1. アミノ酸, 糖, 不溶性有機物を含むマーチソン隕石 ©️Yoshihiro Furukawa

【用語解説】

(注)ホルモース型反応
アルカリ溶液中でホルムアルデヒドから多種類の糖を合成する反応として1860年代に発見されたホルモース反応を主体とする反応。近年、隕石有機物の生成反応の一つとして、提案された反応。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科地学専攻
准教授 古川 善博(ふるかわ よしひろ)
電話:022-795-3453
E-mail:furukawa*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話:022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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