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Wi-Fiの電波で発電するスピントロニクス技術を開発

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:電気通信研究所・教授 ・深見 俊輔
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • Wi-Fiの2.4GHz帯の電波を送受信する磁気トンネル接合とその接続技術を開発
  • 直列接続した素子8個でコンデンサーを5秒間充電し、LEDを1分間光らせることに成功
  • 電池交換不要な無線IoTセンサー、プロセッサーなどのエッジ情報端末への応用が期待

【概要】

電池無しで駆動するワイヤレスのセンサーやプロセッサーなどのエッジ情報端末の必要性が高まっている一方で、身の回りにありふれているWi-Fi電波の電力源としての利用が期待されています。

東北大学電気通信研究所の深見俊輔教授、大野英男教授(現東北大学総長)らは、シンガポール国立大学のHyunsoo Yang教授のグループと共同で、電子の持つ電気的性質と磁気的性質(スピン)の同時利用に立脚するスピントロニクス(注1)の原理を活用し、Wi-Fiの2.4 GHzの周波数の電磁波を効率的に送受信する技術を開発しました。さらにこれを環境発電技術へと発展させ、直列接続した8個のスピントロニクス素子を用いて、2.4 GHzの電磁波を直流電圧信号に変換してコンデンサーを5秒間充電し、発光ダイオード(LED)を1分間光らせ続けることに成功しました。

本技術を発展させることで、電力源としては捨てられ続けているWi-Fiの電波から効率的に電力を抽出して情報のセンシングや処理を行う、ワイヤレス・バッテリーフリーのエッジ情報端末などの実現が期待されます。

本研究成果は2021年5月18日付で英国の科学誌「Nature Communications」で公開されました。

図1) 本研究で用いた磁気トンネル接合と原理実証実験の模式図。磁気トンネル接合の自由層のCoFeBは、膜厚と形状を適切に選ぶことで、その磁化が安定状態で斜め方向を向くように設計されている。これを直列接続して2.4 GHzの電波で発電し、LEDを光らせることに成功した。

【用語解説】

注1)スピントロニクス
電子は電気的性質(電荷)と磁気的性質(スピン)を有しており、これらはそれぞれ電子工学、磁気工学において別々に利用されてきた。スピントロニクスとは、この2つの性質を同時に利用することで発現する新しい現象を明らかにし、工学的に利用することを目指す学問分野である。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

研究に関すること
東北大学電気通信研究所
教授 深見 俊輔
電話 022-217-5555
E-mail s-fukami*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

報道に関すること
東北大学電気通信研究所 総務係
電話 022-217-5420
E-mail riec-somu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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