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1桁ナノメートル世代の集積化技術での10年以上のデータ保持と1兆回に到達する書き換え耐性を有する低消費電力MRAM技術の開発に成功 ~最先端Xnm半導体とスピントロニクス技術の融合による超低消費電力・高性能エッジデバイスでIoT・AI・耐環境応用領域拡大に道を拓く~

【本学研究者情報】

〇国際集積エレクトロニクス研究開発センター センター長・教授 遠藤哲郎
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 新設計の4重界面の強磁性磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)において、18 nmの極微細接合加工後に10年以上のデータ保持特性と1兆回に到達する書き換え耐性を同時に達成できることを世界で初めて実証
  • 新設計のQuad-MTJは、工業製品化されている従来の2重界面磁気トンネル接合素子(Double-MTJ)では困難であった1X nmでの1)10年以上のデータ保持特性を維持しながら、2)1兆回に到達する(6×1011回以上)の高速書込の耐久性と、3)10ナノ秒(ns)の高速書き込み動作と、4)2割の低消費電力動作を同時に実現することに成功
  • 最先端1桁ナノメートル世代(X nm世代)の半導体プロセスデザインルールに1X nm Quad-MTJは適合しており、最先端X nm世代集積回路を用いた高性能エッジデバイスの実現に大きく前進

【概要】

次世代移動送通信システムに基づくネットワーク下でのIoT・AI等の利用拡大による社会のスマート化を加速させるためには、電源供給がより厳しい環境で使用するエッジデバイスの高性能化が必須であり、低消費電力技術としてSTT-MRAM技術のロジックへの展開が進められています。東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター長の遠藤哲郎教授※のグループは、3つの新技術を取り入れた新設計の4重界面磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)を開発し、18 nmの微小な接合直径のQuad-MTJ素子において、保持特性と高速での書き換え耐性を世界で初めて実証することに成功しました。そして、工業製品化されている従来の2重界面磁気トンネル接合素子(Double-MTJ)では困難であった1X nm世代において1) 10年以上のデータ保持特性を維持しながら、2) 1兆回に到達する(6×1011回以上)高書込み耐性、3) 10ナノ秒(ns)の高速書き込み動作と、4) 2割の低消費電力動作と、5)低書き込みエラー率を、新設計のQuad-MTJ素子は同時に達成しました。

今回、性能を実証した1X nm のQuad-MTJ はX nm世代での最先端の半導体プロセスのデザインルールに適合しています。これにより、STT-MRAMの適用範囲が最先端半導体微細加工領域にまで拡大することから、IoTやAI等の幅広い分野でのエッジデバイス等のアプリケーションプロセッサにおける低消費電力・高性能化が図られ、カーボンニュートラルへ大きく貢献します。本成果は、2021年6月13日~19日の期間開催される、半導体超大規模集積回路に関する国際会議である「2021 Symposia on VLSI Technology and Circuits」で発表されます。

※以下の職を兼務:東北大学大学院工学研究科教授、電気通信研究所教授、先端スピントロニクス研究センター(世界トップレベル研究拠点)副センター長、スピントロニクス学術連携研究教育センター領域長

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問い合わせ先

◆研究内容及びセンターの活動に関して
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター
センター長・教授 遠藤哲郎
TEL:022-796-3410

◆その他の事項について
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター
支援室長  高橋嘉典
TEL:022-796-3410 
FAX:022-796-3432
E-mail:support-office*cies.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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