本文へ
ここから本文です

RSウイルスの感染は目に見える前から始まっている 7日間の感染予防対策が必要

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科微生物学分野 教授 押谷仁
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • フィリピンでの疫学調査によって、RSウイルス注1の家庭内感染のほとんどは、家族が感染してから約7日以内に起きていることがわかった。
  • 明らかな症状が現れる前のRSウイルス感染者からも家族への感染が起きる可能性があることがわかった。
  • RSウイルス流行時の家庭や施設における重点的な感染予防対策を考案する上で重要な知見である。

【概要】

RSウイルスは主に5歳未満児で急性下気道感染症注2を引き起こすウイルスです。年長児や大人を含む家庭内での感染や保育施設などでの集団感染が多いことで注目されています。東北大学大学院医学系研究科の微生物学分野押谷仁教授らのグループは、フィリピン熱帯医学研究所およびシンガポール国立大学と共同研究を行い、小児急性呼吸器感染症の主要な原因ウイルスであるRSウイルスの家庭内での感染の多くは、家族がRSウイルスに感染して症状が出る前の期間も含めて約7日以内に発生することを報告しました。これまでに知られていなかったRSウイルス感染リスクの経時的変化が明らかになったことで、家庭や施設での重点的な感染予防対策の考案に貢献できることが期待されます。

本研究成果は、2021年 7月3日に American Journal of Epidemiology(電子版)に掲載されました。

図 従来の研究方法と本研究で用いた方法の比較
点が実測値を表し、実線が推定された排出ウイルス量を表す。青で塗られた部分は推定値 (実線) の95%信用区間を表す。

【用語解説】

注1. RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus):エンベロープを有するRNAウイルスであり、小児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして知られる。日本の感染症発生動向調査の一部であるRSV感染症サーベイランスでは、年間10万例以上が検出されている (2014~2017年、感染症研究所ホームページ)。日本ではRSV感染に関連する入院・死亡の詳細なデータは発表されていないが、RSV感染症は特に乳児で重症化しやすく、世界で年間約6万人の5歳未満児の院内死亡に関連するとされる (Shi et al, 2017, Lancet)。

注2. 急性下気道感染症:急性の経過を辿る、感染を原因とした気管支炎、肺炎など。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科微生物学分野
教授 押谷 仁
電話番号:022-717-8211
Eメール:info*virology.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ