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化学物質が子孫の精子形成異常を起こすしくみ ‐プラスチック可塑剤DEHPの母胎暴露が引き起こすDNAメチル化異常-

【本学研究者情報】

〇加齢医学研究所 教授 松居靖久
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 妊娠期マウスへのDEHP投与により子孫に誘導される精子形成異常の原因の一端を解明しました。
  • DEHPにより胎仔生殖細胞内で精子形成に必要な遺伝子のDNAメチル化が誘導され、精子形成期に、その発現が阻害されることがわかりました。
  • 本研究は、母胎環境の異常に起因する子孫の男性不妊を予防する足がかりになることが期待されます。

【概要】

妊娠期のマウスに、プラスチック可塑剤などとして使用されている化学物質フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)を投与すると、子孫で異常な精子形成が生じることが知られています。東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センター 松居靖久(まついやすひさ)教授らの研究グループは、その原因の一端を明らかにしました。本研究により、DEHPは、胎仔生殖細胞内で精子形成に必要な遺伝子のDNAメチル化を誘導し、さらにそのメチル化が生後の精巣内の生殖細胞でも保たれ、遺伝子の発現を阻害することが確認されました。本研究成果は、化学物質により生殖細胞で誘導されるDNAメチル化異常が男性不妊の原因の一つとして関与する可能性を示唆しています。研究の進展により、不妊予防のための足がかりになることが期待されます。研究結果は、7月28日にeLife誌電子版に掲載されました。

図 DEHPの母胎投与が産仔の精子形成を阻害するしくみ
妊娠期マウスにDEHPを投与すると、胎仔生殖細胞で本来は低メチル化状態である精子形成に必要な遺伝子のDNAメチル化が誘導され、それが生後も保たれて遺伝子の発現と精子形成の阻害が起こる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学加齢医学研究所
教授 松居靖久(まついやすひさ)
助教 丹藤由希子(たんどうゆきこ)
電話番号:022-717-8571、022-717-8572
E-mail:yasuhisa.matsui.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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