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LED照明などで広く活用されている窒化ガリウムとダイヤモンドの直接接合に世界で初めて成功

【本学研究者情報】

〇金属材料研究所 准教授 大野裕
研究者ウェブサイト

【発表のポイント】

  • これまで不可能とされていた窒化ガリウム(GaN)※1とダイヤモンドの直接接合に成功。
  • 1,000℃の熱を加えても耐え得る、安定した接合であることを実証。
  • 従来より冷却が容易になり、大幅な省エネが実現できるため、持続可能な社会の貢献にも寄与。
  • 直接接合により壊れたダイヤモンドの結晶構造を熱処理すると再結晶化することが明らかに。

【概要】

大阪市立大学大学院 工学研究科の梁 剣波准教授、重川 直輝教授、東北大学金属材料研究所の大野 裕准教授、永井 康介教授、清水 康雄博士(現・物質・材料研究機構)、佐賀大学理工学部の嘉数 誠教授、アダマンド並木精密宝石株式会社の金 聖祐博士らの研究グループは、窒化ガリウムとダイヤモンドの直接接合に成功しました。

窒化ガリウムを利用したトランジスタ※2は、シリコンに代わる次世代半導体として、携帯電話の基地局などで幅広く使用されているものの、動作時に極度に温度上昇するため性能が大きく制限されています。加えて大型の放熱部材も必要です。

梁准教授らの研究グループは、地球上で最も熱伝導率が高く、最も効率的に熱を逃すことができるダイヤモンドと窒化ガリウムとの常温での直接接合に成功し、直接接合が1,000℃の熱処理にも耐えることを実証しました。更に、接合に際してダイヤモンドの結晶構造が壊れるものの、熱処理することで再結晶化することを明らかにしました。これは界面で高い熱伝導率が保持することを示します。今回の成果により窒化ガリウムトランジスタで発生する温度上昇をこれまでの1/4倍程度まで抑制でき、大幅な省エネにつながると予測されます。今後、窒化ガリウムトランジスタの使用範囲が拡大し、レーダーやインバータ※3などの大電力用途にも使用できるとともに、持続可能な社会の実現にも貢献すると期待されます。

本研究成果は日本時間2021年9月9日(木)19時に国際学術誌ADVANCED MATERIALS(IF=30.849)にオンライン掲載されました。

図1:GaN/ダイヤモンド接合界面の断面TEM像(a:熱処理前、b:1,000℃熱処理後)

【用語解説】

※1 窒化ガリウム...シリコンに比べ、高い周波数で大電力を扱うことが可能。2014年にノーベル物理学賞を受賞してからLED照明や携帯電話の基地局などで広く活用されている。

※2トランジスタ...電子の流れをコントロールするもので、信号の増幅やスイッチングが可能な半導体素子。

※3 インバータ...直流電力を交流電力に変換するパワーエレクトロニクス回路。電車、エアコン などで広く使用されている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学金属材料研究所
准教授:大野 裕
TEL: 022-215-2043
E-mail: yutakaohno*imr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材・報道に関すること)
東北大学 金属材料研究所 情報企画室広報班
TEL:022-215-2144
E-mail: imr-press*imr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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