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接着剤無しでCFRP/チタン合金の高強度接合を実現 - 金属3D造形による金属表面構造制御により界面はく離を抑制 -

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 准教授 水谷正義
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 3D積層造形した金属基板に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)1を直接圧着した接合体を作製し、従来の接着剤による接合と同等以上のせん断接着強度(20.6 MPa)を実現
  • 金属基板の表面に円柱状突起を3D造形することで、CFRPへ効率的にせん断荷重を伝達させ、せん断接着強度が向上することを実証
  • アディティブマニュファクチャリング2技術を活用した異種材料の直接接合の実用化展開が期待

【概要】

航空宇宙産業では、生産規模の適性からアディティブマニュファクチャリング(AM)に注目が集まっています。とくに、構造部材軽量化を実現しAMの付加価値を高めるには、3D積層造形技術を利用した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と金属とのマルチマテリアル化3が重要な課題となります。

東北大学大学院工学研究科の白須圭一准教授、水谷正義准教授、同流体科学研究所の大林茂教授らと株式会社ジャムコの共同研究グループは、金属3Dプリンタを用いてCFRPへ効率的にせん断荷重を伝達できるような円柱状の突起を有する表面構造を造形し、これにCFRPを熱プレスして直接接合することで、現行の接着剤接合と同等以上のせん断接着強度を発現させることに成功しました。これにより、組み合わせるCFRPの特性等の諸条件を考慮した金属表面構造の最適化を図ることで、将来的に直接接合の実用化への展開が期待されます。

本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導研究プログラム「航空分野における現行接合以上の信頼性を達成するマルチマテリアル3D接合・最適成形技術の開発」の成果であり、2022年5月10日に学術専門誌「International Journal of Adhesion and Adhesives」に掲載されました。

図:実験結果の概要
金属3D造形したチタン合金にCFRPを圧着した試験片のせん断接着強度試験(ラップシェア試験)を実施した。円柱状突起を造形した場合にはCFRPが突起に食い込むことにより界面はく離が抑制され、CFRPが破断するまで荷重を負担した。その結果、接着剤と同等以上のせん断接着強度が発現した。

【用語解説】

1 炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic: CFRP
強化材である炭素繊維と母材樹脂(熱硬化性樹脂)によって構成される軽量かつ高剛性・高強度な複合材料の一種。

2 アディティブマニュファクチャリング(AM
従来の材料を切削などで除去して部材を製造する方法に対し、材料を積層あるいは付加して製造する方法。3Dプリンタによる造形も含まれる。

3 マルチマテリアル化
異なる機能や特性を有する材料を適材適所で組み合わせて、部材の高機能化、多機能化を図ること。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

【内容についてのお問い合わせ先】
東北大学大学院工学研究科ファインメカニクス専攻
准教授 白須 圭一 (しらす けいいち)
電話 022-795-4026
E-mail keiichi.shirasu.c1*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院工学研究科機械機能創成専攻
准教授 水谷 正義 (みずたに まさよし)
電話 022-795-6946
E-mail masayoshi.mizutani.b6*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学流体科学研究所
教授 大林 茂 (おおばやし しげる)
電話 022-217-5265
E-mail
s.obayashi*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

【報道についてのお問い合わせ先】
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤みどり
電話 022-795-5898
E-mail eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
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東北大学流体科学研究所 広報戦略室
担当 内村博子
電話 022-217-5873
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