本文へ
ここから本文です

地域の連帯感が認知症に対する理解を育む 近隣住民の結束力を高く認識している人は認知症に対する差別や偏見が少ない

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科精神看護学分野 准教授 中西三春
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 家族の世話で負担がかかりやすい母親の、認知症に対する態度と近隣住民の結束力に対する評価との関係に着目して解析を行った。
  • 近隣住民の結束力を高いと認識している人は、認知症に対する差別や偏見がより少ない態度を表明していた。
  • コロナ禍で認知症の人と家族介護者にとっては社会とのつながりの減少が懸念される中、本知見は一般の人に向けて地域の連帯感を高める戦略の必要性を示唆する。

【概要】

認知症と共に生きる方が生活していくためには、周囲の人々や地域社会の理解と協力が不可欠です。ところがコロナ禍では対人接触も減少し、認知症の人と家族介護者にとっての社会とのつながりも減ってしまっているとの指摘があり、認知症に対する社会の差別や偏見が強まっていることが懸念されています。東北大学大学院医学系研究科の精神看護学分野中西三春准教授、東京都医学総合研究所の社会健康医学研究センター西田淳志センター長を主要メンバーとする研究グループは、東京ティーンコホートの第4期調査のデータを利用し、近い将来、家族ないし周囲に認知症の人を抱える可能性が高い上に、家族の世話で負担の大きい、年頃(16歳)の子どもをもつ母親を対象に、近隣住民の結束力への評価を指標に、認知症に対する態度を質問紙調査で把握しました。その結果、近隣住民の理解・協力・結束力を高く認識している人は、より認知症に対する差別や偏見が少ない態度を表明していました。本研究の結果は、地域の人と連帯できると思えるかが認知症に対する差別や偏見と関連することを明らかにしたものであり、コロナ禍においても地域の連帯感を高めることが認知症の人と共生できる社会づくりに必要であることを示唆しています。

本研究成果は、2022年7月19日にJournal of Alzheimer's Disease誌(電子版)に掲載されました。

図1.コロナ以前と以後の認知症に対する態度の平均と標準偏差
先行研究をもとに作成した認知症に対する差別や偏見をあらわす9つの意見に対し、(1) 自身の考えとしてどのくらい同意するか、(2) 世間の人はどのくらい同意すると思うか、を尋ねた。9項目の合計で9-54点の範囲をとり、得点が高いほど差別や偏見に同意しない、すなわち差別や偏見が少ない態度であることを示す。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科精神看護学分野 准教授 中西三春
電話番号:022-717-8179 
Eメール:nakanishi-mh*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ