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分子モーターキネシンが細胞の突起の長さを調節するしくみを解明

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所(兼 大学院生命科学研究科) 准教授 丹羽伸介
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • X線結晶構造解析法を用いて、微小管の構成蛋白質チューブリンとキネシンの一つであるKLP-12の相互作用を原子分解能で明らかにした。
  • KLP-12が微小管伸長速度を緩めるブレーキの役割を果たすことをTIRF顕微鏡により明らかにした。

【概要】

神戸大学大学院医学研究科の仁田亮教授、博士課程大学院生の田口真也氏、今崎剛助教らの研究グループは、理化学研究所放射光科学研究センター生物系ビームライン基盤グループの坂井直樹研究員(研究当時、現高輝度光科学研究センター構造生物学推進室研究員)、同重松秀樹研究員(研究当時、現高輝度光科学研究センター構造生物学推進室研究員)、東北大学大学院生命科学研究科修士課程大学院生の中野朱莉氏、東北大学学際科学フロンティア研究所の丹羽伸介准教授らとの共同研究により、分子モーターキネシンが細胞骨格である微小管※1の伸長速度をコントロールして、神経細胞などの突起の長さを調節するしくみをX線結晶構造解析※2や全反射照明蛍光顕微鏡※3を用いて明らかにしました。本研究成果は、神経細胞、上皮細胞などの細胞を形づくる際に用いられる、細胞の根源的なしくみを説明するものです。この研究成果は、2022年9月6日に、国際学術雑誌「eLife」にオンライン掲載されました。

図: KLP-12による微小管伸長速度制御の分子機構
A. KLP-12 による線虫ALM、PLMニューロン伸長制御。模式図(上)と野生型、変異体(klp-12)の表現系。ALMニューロンとPLMニューロンの過剰伸長が観察される。
B. チューブリン-KLP-12-DARPin 4者複合体のX線結晶構造。α-チューブリンを緑、β-チューブリンをシアン、DAPRinを黄色、KLP-12をマジェンタで表示。
C. KLP-12による微小管末端制御機構の模式図。微小管伸長を催すKIF5Bを左、微小管伸長速度を遅くするKLP-12を真ん中、微小管の脱重合を催すKIF2Cを右に示す。

【用語解説】

※1 微小管:
細胞内で最大の細胞骨格分子。α、β-チューブリン二量体が縦に連なったプロトフィラメントが13本並び、中空管状の構造をしている。 

※2 X線結晶構造解析:
X線を用いて結晶の原子構造を決定する手法。今回の場合はタンパク質を結晶化し、複数の結晶から大型放射光施設SPring-8 BL32XU の高輝度微小X線を用いてデータ収集を行い、それらを統合し解析を行った。

※3 全反射照明蛍光顕微鏡:
トンネル効果によりしみ出すレバネッセント光を励起光源とした蛍光顕微鏡です。光学顕微鏡より高い分解能を備えるため、微小管や微小管結合タンパク質一分子の観察が可能である。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所
(兼 大学院生命科学研究科)
准教授 丹羽 伸介(にわ しんすけ)
電話 022-795-5259
E-mail shinsuke.niwa.c8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
広報室
電話 022-217-6193
E-mail lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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