本文へ
ここから本文です

炎症性腸疾患治療患者ではワクチンの追加接種が望ましい 免疫抑制的な治療中は積極的な追加接種が免疫獲得のカギ

【本学研究者情報】

東北大学病院 消化器内科 助教 志賀永嗣
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 新型コロナのワクチン接種は、潰瘍性大腸炎注1およびクローン病2患者にも推奨されているが、免疫抑制的な治療を受けている患者ではワクチンに対する反応が低下することが欧米から報告されている。しかし、遺伝的な背景の異なるアジア人患者における報告はまだない。
  • 日本人の炎症性腸疾患患者では、規定の2回のワクチン接種後に良好な反応が得られていたが、特定の薬剤を使用している患者ではワクチンの反応が低下していた。ただし、追加の接種を行なうことで十分な反応が得られた。
  • 免疫抑制的な治療を受けている患者では、積極的に追加の接種を受けることで十分なワクチンの効果を得られることが期待される。

【概要】

新型コロナウイルス感染症が流行する中、ワクチン接種の重要性が喚起されていますが、欧米からは、免疫抑制的な治療を受けている炎症性腸疾患の患者ではワクチン接種の反応が低下しているとの報告がなされています。しかし、同じ炎症性腸疾患であっても遺伝的な背景の異なるアジア人患者における報告はこれまでありませんでした。東北大学病院消化器内科の志賀永嗣助教、角田洋一病院講師、および東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野の正宗淳教授らのグループは、東北大学病院検査部の藤巻慎一技師長らのグループとともに、日本人炎症性腸疾患患者における新型コロナワクチン接種の効果を初めて明らかにしました。本研究は、免疫抑制的な治療を受けている患者では、ワクチン(規定の2回接種)の反応が低下しているものの、追加の接種により改善することを明らかにした重要な報告です。

本研究成果は、2022年9月6日(現地時間、日本では9月7日)Journal of Gastroenterology and Hepatology誌(電子版)に掲載されました。

図1. 本研究の流れ
新型コロナワクチン(2種類のメッセンジャーRNAワクチンのいずれか)を規定の2回および追加(3回目)で接種する。接種前、1回接種後、2回接種後、3回接種後に、血清中のスパイクタンパク(ワクチンがターゲットとするタンパク質)に対する抗体を測定する。

【用語解説】

注1. 潰瘍性大腸炎:腹痛や血便を主症状とする原因不明の難治性大腸炎で、国の指定難病となっている。若年で発症することが多いが、比較的高齢で発症することもある。過剰な免疫が関与していると考えられており、免疫抑制的な薬剤を使用する機会が多い。また、免疫抑制的な薬剤の多くは、長期に継続することになる。

注2. クローン病:腹痛や下痢を主症状とし、主に小腸や大腸に潰瘍などの炎症をきたす原因不明の難治性腸炎で、国の指定難病となっている。潰瘍性大腸炎と同じく、免疫抑制的な薬剤を長期に使用することが多い。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院消化器内科
助教  志賀 永嗣
電話番号: 022-717-7171
Eメール: press*gastroente.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院 広報室
電話番号: 022-717-8032
FAX番号: 022-717-8187
Eメール:  press*pr.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ