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縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(指定難病)を対象としたアセノイラミン酸の有効性確認試験結果

【本学研究者情報】

大学院医学系研究科 神経内科学分野
教授 青木正志
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 国立大学法人東北大学病院では、遠位型ミオパチー1)の1種で、アセノイラミン酸2)の縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)3)を対象とした臨床試験を実施してきました。
  • プラセボ対照二重盲検の医師主導第II/III相試験において、本剤群ではプラセボ群と比較して48週時点の上肢筋力合計点数の低下(悪化)が抑制されました。
  • 有効性確認試験におきまして同様の成績が得られましたので、ノーベルファーマ株式会社にて薬事承認申請を準備しています。

【概要】

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)は、多くは10歳台後半から30歳代にかけて出現し、体幹から離れた部位から筋肉が萎縮、変性し次第に体の自由が奪われていく有効な治療法のない希少疾病です。我が国の患者数は400名程度と推定され、指定難病の一つに数えられています。東北⼤学⼤学院医学系研究科、神経内科学分野の青木正志教授らのグループは、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)におけるアセノイラミン酸の治療効果を明らかにしました。本研究は、難病である遠位型ミオパチーに対する治療法を示した重要な報告です。

本研究成果は、2022年11月3日第40回日本神経治療学会学術集会(会場ホテルハマツ)にて発表しました。

【用語解説】

注1. 遠位型ミオパチー:遺伝的な筋肉の病気(筋疾患)の一つです。理由は不明ですが、筋疾患の多くは、体幹に近い筋(近位筋)から障害されます。ところがこの遠位型ミオパチーでは、体幹から遠い筋(遠位筋)、例えば足首を動かすような筋肉や指先を動かすような筋肉から障害されます。そのような遺伝性筋疾患を総称して、遠位型ミオパチーと呼んでいます。

注2. アセノイラミン酸:シアル酸の一種です。GNEミオパチーで足りなくなったシアル酸を補うため経口投与可能な薬剤として開発されました。

注3. GNEミオパチー:遠位型ミオパチーの一つで1980年代の日本からの臨床報告が疾患概念確立の端緒となりました。GNE遺伝子はシアル酸という糖の一種を身体の中で合成するのに必要な酵素の設計図です。患者さんではこの酵素の機能が低下していて、シアル酸が出来にくくなっています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北⼤学⼤学院医学系研究科神経内科学分野
教授 青木正志 (あおき まさし)
助教 鈴木直輝 (すずき なおき)
電話番号:022-717-7189
Eメール: naoki*med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7149
FAX番号:022-717-8931
Eメール: press*pr.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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