本文へ
ここから本文です

糸状菌から新たなフラボノイド生合成システムを発見 糸状菌カルコン合成酵素およびカルコン異性化酵素の発見

【本学研究者情報】

〇大学院薬学研究科 医薬資源化学分野 教授 浅井禎吾
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • ゲノムマイニングにより糸状菌からカルコン合成酵素およびカルコン異性化酵素を発見した。
  • 植物のカルコン生合成とは異なる第二のカルコン生合成システムを発見した。
  • 糸状菌を宿主としたフラボノイド生産プラットフォームを構築した。

【概要】

カルコンは、植物天然物でもっとも重要なグループの一つであるフラボノイドの生合成前駆体です。カルコン生合成はこれまでに広く研究されていますが、カルコン合成酵素として知られているのはIII型ポリケタイド合成酵素に属する酵素だけでした。これらは植物や藻類に普遍的に存在しており、このことは天然物化学のどの教科書にも記載されています。

糸状菌のゲノム上には膨大かつ多様な天然物生合成に関わる遺伝子が存在しており、これらは新しい天然物や生合成システム発見の有望な資源です。東北大学大学院薬学研究科の浅井禎吾教授の研究グループは、糸状菌の遺伝子資源からユニークな天然物や生合成システムを探索する過程で、糸状菌から新たなカルコン合成酵素を発見しました。加えて、カルコンからフラバノンへの立体選択的な環化を触媒するカルコン異性化酵素も糸状菌から初めて発見しました。さらに、これらの成果に基づき、麹菌を宿主としたフラボノイド類の生産プラットフォームを構築しました。

この成果は、植物とは異なる新たなフラボノイド生合成システムの発見であり、天然物化学分野に一石を投じるものです。また本研究で構築した糸状菌を宿主とするフラボノイド生産プラットフォームは、医薬資源としても重要なフラボノイド類の合成生物学研究の基盤になり得るものであり、今後の創薬研究の展開も期待されます。

本研究の成果は、2023年2月10日付で米国科学雑誌 Journal of Natural Productsにオンライン掲載されました。

図1. 今回発見した糸状菌におけるカルコン生合成と、植物におけるカルコン生合成の比較

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院薬学研究科
教授 浅井 禎吾
TEL 022-795-6822
E-mail teigo.asai.c8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院薬学研究科
総務係
TEL 022-795-6801
E-mail ph-som*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ