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新型コロナウイルス感染伝播における社会的場面ごとの特徴 -夜間営業の飲食店から他への感染拡大が生じる可能性が高い-

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科微生物学分野 教授 押谷仁
大学院医学系研究科微生物学分野 助教 今村剛朗
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 2020年1月23日から2020年12月5日の間に東京都に報告された新型コロナウイルス感染者の保健所での積極的疫学調査(注1)による情報を解析した。
  • 夜間営業の飲食店(注2)および医療機関・福祉施設では、他の場面と比較してCOVID-19クラスター(感染報告者数5人以上)を生じる頻度が高かった。
  • 夜間営業の飲食店における感染報告者は、家庭内および医療機関・福祉施設における感染報告者よりも早期に発生し、他の場面へのさらなる感染拡大を生じやすかった。

【概要】

COVID-19の感染拡大をコントロールすることは、ワクチン接種のみでは困難であり、感染拡大のハイリスク群に焦点を絞った介入の実施が必要であると考えられます。

東京都・東北大学大学院医学系研究科・国立感染症研究所の合同チームは、2020年1月23日から2020年12月5日の間に東京都に報告された新型コロナウイルス感染者44,054人を対象として、保健所での積極的疫学調査による情報を用いた後方視的解析を行いました。

その結果、社会的場面ごとに感染伝播の特徴が異なり、夜間営業の飲食店がCOVID-19感染拡大と関連している可能性が高いことが示されました(図1)。

今回の研究で得られた知見は、社会経済活動を維持しつつ感染拡大のリスクが高い場面に焦点を絞った感染防止対策の構築に役立てられることが期待されます。

本研究成果は、「JAMA Network Open」誌(電子版)に、2023年2月24日(現地時間)に掲載されました。

図1.本研究から明らかになった典型的なCOVID-19感染伝播のパターン
夜間営業の飲食店および医療機関・福祉施設では、他の場面と比較してCOVID-19クラスターを生じる頻度が高かった。また、夜間営業の飲食店における感染報告者は、家庭内および医療機関・福祉施設における感染報告者と比較して、より早期に発生し、かつ他の場面へのさらなる感染拡大を生じやすかった。本研究では、医療機関・福祉施設における感染伝播の発端者は特定しなかった。

【用語解説】

注1.積極的疫学調査:国内で探知された新型コロナウイルス感染症の患者(確定例)等に対して、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第15条に基づいて、保健所によって実施される調査を指します。積極的疫学調査には、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするためのもの(感染源の推定・後ろ向き積極的疫学調査)と感染症の発生予防のため、感染症の患者、疑似症患者、無症状病原体保有者、感染症の所見がある者等を同定するためのもの(濃厚接触者等の同定・前向き積極的疫学調査)とがあります。

注2.夜間営業の飲食店:本研究では、レストラン・バー・パブ・ナイトクラブ(接待を伴う施設を含む )などの夜間に営業している飲食店を、本研究における「夜間営業の飲食店」と定義しました。「夜間営業の飲食店」を、さらに接待を伴う施設と接待を伴わない施設とに分類しました。性的サービスを提供する施設は、接待を伴う「夜間営業の飲食店」に分類しました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科 
微生物学分野
教授 押谷 仁 (おしたに ひとし)
電話番号:022-717-8210
Eメール:info*virology.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-8032
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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