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「生体内の胎盤を模倣したヒト胎盤オルガノイドの作製に成功」 ―胎児に安全な創薬への利用に期待―

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科 情報遺伝学分野
名誉教授 有馬隆博、助教 柴田峻、助教 小林枝里
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • ヒトの胎盤幹細胞を用いて、ヒトの絨毛構造を模倣した胎盤オルガノイドモデルを世界で初めて作製。
  • 胎盤オルガノイドモデルの作製条件をもとに、妊婦から胎児への物質移行を定量的に評価可能な胎盤バリアモデルを開発。
  • ウイルスや細菌の胎盤を介した胎児への影響、胎盤で起きる物質輸送、胎盤の形成・成熟過程などを解明する上で、有用な細胞培養モデルとなるものと期待される。さらに、創薬、動物実験に頼らない医薬品安全性評価(動物実験代替法)の開発に貢献するものと期待される。

【概要】

ヒト胎盤は、医薬品やウイルス等の異物から胎児を守る関門(バリア)として機能する。東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 診断治療システム医工学分野の梶弘和教授と堀武志助教、東北大学 大学院医学系研究科 情報遺伝学分野の柴田峻助教、小林枝里助教、有馬隆博名誉教授、熊本大学発生医学研究所 胎盤発生分野の岡江寛明教授らの研究チームが共同で、ヒトの胎盤幹細胞を用いて、生体内の絨毛に類似した胎盤オルガノイド※1の作製に成功しました。本研究は、革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)、科学研究費補助金などの支援のもとで行われたもので、その研究成果は、国際科学誌Nature Communications(ネイチャー コミュニケーションズ)に、2024年2月8日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。

図1 医薬品の胎盤を介した胎児への移行
胎盤の絨毛表面には合胞体性栄養膜細胞があり、これが異物に対する主たるバリアの役割を果たしている。しかし、妊婦が服用した医薬品の中には、この胎盤バリアを透過し、胎児に好ましくない作用を及ぼすものがある。

【用語解説】

※1 オルガノイド 幹細胞などの自己組織化により形成される、組織様の細胞構造体。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科情報遺伝学分野
名誉教授 有馬 隆博(ありま たかひろ)
TEL:022-717-7844
Email:tarima*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
TEL:022-717-8032
FAX:022-717-8931
Email:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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