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インダゾールとカルボン酸の直接アミド化反応 〜シンプルかつ実用的な合成法〜

【本学研究者情報】

〇大学院生命科学研究科 助教 梅原厚志
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • インダゾールは医薬品の構造に含まれる重要な化学構造です。
  • アミドは生体分子や天然物、医薬品などの構造中に普遍的に存在する極めて重要な化学結合です。
  • 独自に開発した反応条件を用いて、インダゾールとカルボン酸のアミド化反応をワンポットで実現しました。
  • 本手法は、反応性の低い基質同士をシンプルな方法で繋ぐ強力な手法であり、創薬化学研究の発展に大きく貢献すると期待できます。

【概要】

アミドは、生体分子や天然有機化合物、医薬品などの構造中に普遍的に存在する極めて重要な化学結合です。そのためアミド結合形成のための方法はこれまで数多く開発されてきました。しかしインダゾールとカルボン酸とのワンポット縮合反応による直接的なアミド結合形成反応(注1はこれまで報告例がありませんでした。この反応で合成できる生成物の中には、医薬品候補として期待されている有用な化合物群が知られています。そのため、インダゾールとカルボン酸を用いた直接的なアミド形成反応の新技術の開発が求められています。

東北大学大学院生命科学研究科の梅原厚志助教と佐々木誠教授はこれまで、反応性の低い窒素求核剤とカルボン酸をワンポットで簡便に結合させる新規のアミド結合形成反応(DMAPO/Boc2O反応条件)(注2を独自に開発してきました(参考文献1)。今回、この方法を応用して、インダゾールとカルボン酸の化学選択的ワンポットアミド形成反応を実現しました。この成果は、インダゾールとカルボン酸を簡便かつシンプルにつなぐことができる強力な方法を提供するものであり、創薬化学研究の貢献に大きく期待できます。

本研究成果は、2024年2月14日付で有機化学の専門誌European Journal of Organic Chemistryにオンライン掲載されました。

【用語解説】

注1.カルボン酸のワンポットアミド形成反応: ワンポットとは、複数の反応を一つの反応容器で行うこと。効率性の観点から望ましい方法である。カルボン酸とアミンからワンポットでアミド結合を形成するには、カルボジイミドやウロニウム系の強力な縮合剤を用いるのが定法である。

注2.DMAPO/Boc2O反応条件: DMAPO = 4-ジメチルアミノピリジンN-オキシド、Boc2O = 二炭酸ジ-tert-ブチルの略。反応性の低い窒素求核剤とカルボン酸をone-potで簡便に結合させる新規のアミド結合形成反応である。本反応は、反応性の低い求核剤の求核的な活性化とカルボン酸の求電子的な活性化を一つのフラスコ内で同時に効率よく行っている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学生命科学研究科
助教 梅原厚志
TEL: 022-217-6214
Email: atsushi.umehara.e3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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