2024年 | プレスリリース・研究成果
生体材料で歯周組織を再生する発展的治療を可能に 〜天然歯根周囲の骨と歯根膜の完全再生を目指す〜
【本学研究者情報】
〇歯学研究科 顎顔面口腔再建外科学分野 教授 山内健介 助教 松井桂子
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 歯科口腔外科領域で骨の欠損を対象とする生体材料を使用することで、歯周組織再生が可能であることを発見しました。
- 顎骨欠損部に隣接する天然歯根の長期保存が、骨と歯根膜が再生する歯周硬軟組織の修復により可能となります。
- 歯周病の進行によって失われた骨と歯根膜の再生が可能となることにより、理想的な歯周組織の回復が期待されます。
【概要】
歯と骨の欠損部に生体材料(人工骨)を埋め込んで骨再生(注1)を行い、歯科用インプラント(人工歯根)を植える治療はすでに臨床応用されています。しかし、骨が欠損した部分に天然歯が隣在する場合の、再生した骨と歯との関係については未確認でした。
東北大学大学院歯学研究科の山内健介教授、松井桂子助教、鎌倉慎治東北大学名誉教授らのグループは、生体材料によって再生された骨と天然歯根の間に、正常な歯周組織(注2)が再生されることを発見しました。本研究成果により、顎骨病変を摘出した際に、それに隣在する天然歯が骨の支持を失っても、生体材料を埋め込むことで、歯根周囲の硬組織(骨)と軟組織(歯根膜)が同時に回復して正常な状態で長期保存が可能となります。また、歯周病の進行により歯槽骨が吸収されて歯根が露出した場合にも、本材料を応用した歯周組織の再生治療が期待されます。
本研究成果は2024年8月26日、口腔顎顔面外科学分野の専門誌、Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathologyにオンライン公開されました。
骨欠損部に新生骨がみられ、組織学的に歯根膜の再生を認める
【用語解説】
注1.骨再生:本来の骨の部分が失われたところに再び骨組織を作ること
注2.歯周組織:歯を顎骨に固定して機能させるための支持組織。歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質から成る
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
顎顔面口腔再建外科学分野
教授 山内健介 助教 松井桂子
TEL:022-717-8350
Email: keima*dent.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
TEL:022-717-8260
Email: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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