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固体酸化物セルのコバルト使用量を削減 ― グリーン水素の利用・製造コストの低減に貢献 ―

【本学研究者情報】

大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻
教授 髙村仁
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 固体酸化物セル(注1は発電・水素製造のためのデバイスです。
  • わずか1体積%のコバルト酸化物が電極活性向上に有効と実証しました。
  • 燃料電池・水素製造装置のコスト低減に貢献します。

【概要】

近年、グリーン水素の利用・製造技術として、700℃近傍で作動する固体酸化物セル(SOC)が注目されています。このSOCの実用化に向けては、セルの低コスト化が重要な課題であり、解決策の一つとして空気側電極材料中の高価なコバルト酸化物の使用量削減があります。

東北大学大学院工学研究科と同大学SOFC/SOEC実装支援研究センター(注2の高村仁教授らは、コバルト酸化物の分散状態を精密に制御することにより、従来よりも微量のわずか1体積%の添加で十分な酸素吸着・解離速度が得られることを発見し、電極材料のコバルト使用量を大幅に削減できる可能性を示しました。

本成果は、2024年9月23日に学術誌ACS Applied Materials & Interfacesに掲載されました。

図1. (a) 630℃, (b)880℃で熱処理されたCo3O4添加Ba-Zr系プロトン伝導体の微細組織と(c) 酸素表面交換反応速度の比較

【用語解説】

注1. 固体酸化物セル(SOC:Solid Oxide Cell):電解質に固体酸化物を用いる燃料電池と、その逆作動で水蒸気の電気分解により水素を得る電気化学デバイスの総称。それぞれ固体酸化物形燃料電池(SOFC :Solid Oxide Fuel Cell)、 固体酸化物形電解セル(SOEC :Solid Oxide Electrolysis Cell)とも称される。

注2. 東北大学SOFC/SOEC実装支援研究センター:2023年7月10日にSOFC/SOEC技術の早期社会実装を支援することを目的として東北大学大学院工学研究科と大学院環境科学研究科が共同で設置。複数業種の企業と東北大学のSOFC/SOECに関する研究グループからなる共創プラットフォーム。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/07/press20230710-01-grenn.html

【論文情報】

タイトル:Dissociative Oxygen Adsorption and Incorporation in Co3O4-dispersed BaZr0.9Sc0.1O2.95 for PCFC Cathode [Open Access]
著者:Shinnosuke Kamohara, Akihiro Ishii, Itaru Oikawa, Hitoshi Takamura*
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 教授 高村 仁
掲載誌:ACS Applied Materials & Interfaces
DOI:10.1021/acsami.4c10490

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
SOFC/SOEC実装支援研究センター
教授 高村 仁
TEL: 022-795-3938
Email: takamura*material.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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